主様は知りたい【ラト・バッカ】【あくねこ】 (ページ12)

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"ラト、ちょっと来て。"

「はい。分かりました。……？主様、これは一体何をなさっているのでしょう？」

早速ラトを壁の方に呼び出す貴方、その呼び掛けに直ぐに応じて来てくれたラトの顔の横に手をつくも、壁ドンを知らないラトの純粋な目に少し罪悪感と味気なさを感じてしまいます。

「なるほど、壁ドンとはドキドキするものなのですね。うーん、恋愛におけるドキドキという感情は分かりませんが…いつもより主様が近くにいる事は嬉しいのかも知れません。…何故でしょう？」

意味がわからず首を傾げているラトに壁ドンの説明をすると、納得したあと、また疑問を浮かべるラト。

「あっ、分かりました。失礼します、主様。」

その後少し悩んでいる様子見せた後、突然何かを思いついたようです。するといきなり顔の横に置いてあった手を掴まれぐるっとゆっくり視界が変わります。

"えっ…"

トンっと顔の隣につかれた音と共にさっきと立場が逆転した形になっている状況に混乱してしまいます。

「どうですか？主様。ドキドキしますか？」

ふふ、と少しだけ悪戯げに笑うラトにこちらも笑って全然〜なんて余裕を出してみますが、普段こんなことやらなさそうなイメージから内心少しドキドキしてしまいます。

「うーん、確かに、先程とあまり変わっていないような気がします。あっ、そうです。それなら、もう少し近くに。」

私の余裕そうな態度にまた少し考えた顔をした後思いついたように今度は顔と体が近づいてきます。

"わっ、ちょっ、ラト…!"

「ねぇ主様。ドキドキしていますか？」

急にドキドキが伝わりそうなほど近づいてきたラトに、パニックになり思わず固まってしまいます。

「うーん、やはりドキドキという感情はよく分かりませんが、私は主様が近くにいると嬉しいみたいです。急にごめんね、主様。…大丈夫？お顔が真っ赤ですよ。」

ニコニコと嬉しそうに言った後、ゆっくりと離れたと思ったら顔を覗き込んできて不思議そうにそんなことを問うてきます。

全く誰のせいだと思っているんでしょう。恐るべしラト・バッカ。いきなり仕掛けてきます。

ドキドキさせてやろうと思ったのにまんまとドキドキさせられましたね。悔しいのでいつかリベンジしましょう。