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一歩【nkm】 ページ7

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お互いに大切な存在ではあった。
でも、私も彼も互いを一番には出来なかった。
だから手を離した。お互い頑張ろうねと笑って歩き出した、はずなのに。


「……あー…馬鹿だな」

ひとり暮らしの部屋に消える独り言は、それはもう惨めなものである。

_______それは1週間前、2人で話し合って決めた事だった。
私も彼もやりたい事があった。言い方は悪いが、互いが互いの足枷になっていたのだ。
大切にしたい気持ちはある。でもきっと、この先Aを一番に大切に出来ない。だから別れよう、とそう言ったのは彼の方で、あぁその通りだなと私も頷いた。

彼の家から私物を持ち出して、いらないものは処分した。最後の日、キスもハグもなく私達の2年間は終わりを迎えた。
名残惜しかったのは、やはりどこかでまだ彼の事を好きだったからだろう。



「……やめよ」

Tシャツの襟の部分で濡れた目尻をごしごしと拭き、ベッドに寝そべったまま天井を見上げる。

ちゃんと、好きだった。
余裕が出来ると自分勝手に思い出して、こうして泣いてしまうくらいには。
でも、私には他にたくさん大切なものも、これからやりたい事もあって。職場で叶えたい夢だって出来て。
めそめそしているくらいならさっさと歩き出した方が合理的だと、少なくともそう理解出来るくらいの強さは持ち合わせているつもりだった。


いつの間にか弱くなっていたのを、私自身が一番知らなかった。
仕事と同じくらい大切だった。大好きだった。
だから連絡先も彼との写真も、一緒に食べたスイーツの写真すらも全て消して、いつにも増して仕事に精を出していた。
そうして忘れていなければ、弱い自分があらわになってしまうと分かっていたから。

「……nakamu」

もうどこにも面影はない、恋人だった人。
nakamuの活動を応援して、そばで支えてくれる素敵な人と巡り会えるといいね_____と思えるようになるにはまだ少し時間が足りないけど、でも。
でも、他でもない私達が私達の為に選んだ道だ。
強く、ならなくては。


ベッドから起き上がり、どうにも出来ず置きっぱなしにしていたお揃いのネックレスを手に取る。少しだけ見つめて、戸棚の奥に仕舞った。

大丈夫。きっともう、私には必要ない。



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あいら - ありがとうございました!引くほど鬼リピします! (2021年12月7日 23時) (レス) @page39 id: 508c9e96c0 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 長い間お疲れさまでした…!いつも楽しみに読ませてもらいました!!長編小説のほうも大好きです!!これからも応援してます! (2021年11月24日 14時) (レス) @page39 id: 91c51e0192 (このIDを非表示/違反報告)
あみだくじです(プロフ) - まめこさん» あっありがとうございます…!!!!! (2021年9月26日 9時) (レス) id: fe4eb2c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
音夢nemu(プロフ) - まめこさん» ありがとうございます、、、!! (2021年9月25日 23時) (レス) id: 927429c6cf (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あみだくじですさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!リクエスト承りました、お待たせしてしまうとは思いますが必ず書かせていただきます🙇‍♀️ (2021年9月25日 23時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2021年7月9日 22時

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