おめでとう、大好きな人【nkm】 ページ33
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まずい、まずいまずい。本当にまずい。
現在時刻は18時30分。
18時には帰る予定だったはずが、私はまだ忙しなく帰路を小走りで進んでいた。
決してミスをして私を呼び止めた後輩を責めたいわけじゃない。私が対応しなければならなかったのは仕方のないことだし、ただタイミングが悪かっただけの話だ。
でも今日だけは________今日だけは、約束通りに帰らなくちゃいけなかったのに。
まるで神様に見放されたような気分だった。
罪悪感に苛まれながら手に持ったケーキの箱を揺らさぬ程度に階段を駆け上がり、カバンから手探りで見つけた鍵を鍵穴に差し込む。
怒ってるかな。呆れてるかな。それとももう、無理だって言われるかな。
だってこうやって帰りが遅くなるのは初めてじゃなくて、約束に遅刻した事など数えだしたらキリがないほどあった。
そうして慌てて玄関のドアを開け、パンプスを乱雑に脱ぎ捨てる。ただいま…！！とその勢いのままリビングに駆け込めば、ふとテレビを見ていたらしい頭がふわりとこちらを振り返った。
__________しかしその表情は、私が思っていたようなものではなくて。
「おかえり〜…あれ、もしかして走った？」
「えっ…？うん…」
「いや、仕事なんだから仕方ないでしょ。それよりもう暗いのに急いで帰ってくる方が危ないよ」
立ち上がった彼がそう言って心配そうな顔をしてこちらへ歩いてくる。
怒ってはない、らしかった。
「…でも、6時に帰るって約束したのに」
「？連絡くれたじゃん」
「……Nakamuの誕生日なのに…」
「…え、あ、そういうこと？」
逆にそれ以外に何があると思ったのか。
ひとまずケーキの箱を机の上に置いてそうだよと頷くと、彼は不思議そうに目を瞬かせた。
「でもちゃんと祝ってくれるし…ケーキも買ってきてくれるし、プレゼントも用意してくれてるの分かってるし…」
「……そりゃ、してるけど」
「でしょ？それで十分だよ、俺は」
急いで帰ってきてくれたのも嬉しいけどさ、と彼は風に吹かれてボサボサになった私の前髪を指で梳かしながらふふふと笑う。
「でも…Aが俺を想ってここに帰ってきてくれるのが、一番のプレゼントかな」
……あぁ、恥ずかしいセリフ。
そういうことを飾らず真っ直ぐに言えてしまう所も大好きだよと口に出すのは、私にはまだ無理だけど。
緩む口元を隠すのは、もう諦めてもいいかな。
「…誕生日おめでとう、Nakamu」
「へへ、ありがと！」
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あいら - ありがとうございました！引くほど鬼リピします！ (2021年12月7日 23時) (
レス) @page39 id: 508c9e96c0 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 長い間お疲れさまでした…！いつも楽しみに読ませてもらいました！！長編小説のほうも大好きです！！これからも応援してます！ (2021年11月24日 14時) (レス) @page39 id: 91c51e0192 (このIDを非表示/違反報告)
あみだくじです(プロフ) - まめこさん» あっありがとうございます…！！！！！ (2021年9月26日 9時) (レス) id: fe4eb2c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
音夢nemu(プロフ) - まめこさん» ありがとうございます、、、！！ (2021年9月25日 23時) (レス) id: 927429c6cf (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あみだくじですさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！！リクエスト承りました、お待たせしてしまうとは思いますが必ず書かせていただきます🙇♀️ (2021年9月25日 23時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まめこ
| 作成日時：2021年7月9日 22時
