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眠り姫【nkm】 ページ25

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「…眠くない」
「だーめ、眠くても寝なきゃ」

せっかくの休みなのに…と文句を垂れる私に布団を被せ、Nakamuは呆れたように息を吐いた。

「も〜しょうがないでしょ。無理はダメだよって言ったのに毎日遅くまで仕事してたのは誰?」
「……だって、初めて通った企画だったから」
「うん、頑張ってたもんね。仕事の話してるAめちゃくちゃ楽しそうだったし…それは俺も分かってるけどさ」

でも頑張りすぎて倒れたら元も子もないよ、とそう言って彼は子供をあやすように布団の上をぽんぽんと叩く。

……ぐうの音も出ないとはまさにこのこと。
彼の言う事に、間違いはひとつもなかった。むしろ、私が招いた結果であるにも関わらず、彼はこんなにも優しい。
私が、今日の予定を白紙にしてしまったのに。

「今日休みでよかったね」
「……うん。ごめんね」
「なーんでAが謝るの!俺はいいんだって、次の休みもあるし、今日はずっと一緒にいられるしね」

涙腺が緩いのも、熱のせいだろうか。
なんで泣きそうなんだよ、と困ったように笑いながら彼は片手で私の目尻を指で拭い、もう片方の手で頭を撫でる。
寝癖がついたままの髪を梳かすように動く指がくすぐったくて、私は思わず首を竦めた。


「あ、そうだ!」

ふと、彼が私の頭に手を乗せたまま何かを閃いた顔をして私を見下ろした。
何?と私が問う間もなく、Nakamuはちょっと待っててねと言って小走りで寝室を出ていく。
なんだろ、と枕から頭を浮かせてドアの方を見ると、とたとたと足音を立てて彼は思いの外すぐに戻ってきて、片手に持ったそれを私の前に掲げた。

「…弾いてくれるの?」
「うん、眠れないなら子守唄歌ってあげようと思って。いらない?」
「い、いる!いります!」

彼は私を宥めるようにまた頭を撫でてベッド脇に座ると、ギターを構える。
何がいい?と問われるや否や迷わず曲名を告げると、やっぱりそれなんだと彼は可笑しそうに、でも嬉しそうに笑った。

彼と付き合うまで、驚く程音楽に興味がなかったのだ。そうなると必然的に彼の好みに引っ張られてしまうもので、好きなアーティストは?と訊かれた時の返答はいつの間にか彼と同じになってしまっていた。

「その曲が1番好きなんだもん」
「ふふ、知ってる。今のAにぴったりだしね」

優しい音色が部屋に溢れる。ゆっくりと目を瞑ると、彼の歌声が初めのフレーズを口ずさんだ。
…ああ、何だか今なら、気持ちよく眠れそうだ。

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あいら - ありがとうございました!引くほど鬼リピします! (2021年12月7日 23時) (レス) @page39 id: 508c9e96c0 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 長い間お疲れさまでした…!いつも楽しみに読ませてもらいました!!長編小説のほうも大好きです!!これからも応援してます! (2021年11月24日 14時) (レス) @page39 id: 91c51e0192 (このIDを非表示/違反報告)
あみだくじです(プロフ) - まめこさん» あっありがとうございます…!!!!! (2021年9月26日 9時) (レス) id: fe4eb2c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
音夢nemu(プロフ) - まめこさん» ありがとうございます、、、!! (2021年9月25日 23時) (レス) id: 927429c6cf (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あみだくじですさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!リクエスト承りました、お待たせしてしまうとは思いますが必ず書かせていただきます🙇‍♀️ (2021年9月25日 23時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まめこ | 作成日時:2021年7月9日 22時

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