ダウト【nkm】 ページ14
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「…通話、誰から?」
「え…いや、友達から、だけど」
鋭い視線に睨まれ、思わず目を逸らす。
電話くらい出ていいよ、俺に気遣わなくても。そう言って通話をさせようとするのは、先程から私のスマホに何度も着信があって、頑なに私がそれを取ろうとしないからである。
やましい事があるのだと思われて当然の行動だろう。
しかし、これはドッキリ。
しつこく通話をかけてきているのは彼ととても仲の良い友人であり、私と彼の高校の同級生でもあるシャークんだ。もちろんやましい事など何一つないし、私は彼一筋なので。
「…俺に聞かれたら困るから取れないの?」
「……それは…」
「じゃあ…相手は男?」
「……うん」
我ながら上出来な設定だとは思うが、本当に最低だ。しかも浮気相手も浮気相手でしつこすぎる。
相手が男である事を認めた私にNakamuは何も言わず暫く黙り込むと、ふーん、と呟く。
その声には明らかに怒りが滲んでいて、そろそろまずいかなと私はそっと顔を上げた。
が、しかし。もう少し悲しんでくれるかなと思っていた彼は、それはもう冷徹な表情で私を見ていた。
恐怖で体が強ばるのが、自分でも分かる。どうやってネタばらししよう…と焦れば焦るほど頭が真っ白になるようで何も浮かばなかった。
Nakamuが、ゆっくりと口を開く。
「…確かに最近、全然一緒にいられなかったけどさ」
「浮気は、ダメでしょ。分からない?」
_________あぁ、無理!!怖い!!
氷のような冷え切った視線にもう耐えられなかった。ごめんなさい!と爆速で頭を下げ、私は早口で真相を告げる。
「分かります!ごめんなさい、ドッキリでした!通話相手はシャークんです!私が頼みました、ごめんなさい…!!」
「…………え?ドッキリ?」
恐る恐る顔を上げると彼は机に肘をついたまま唖然としていた。
ぱちり、と大きな瞳が瞬く。
「じゃあ…それもシャークん?」
「うん…協力してもらって……ほんとに、ずっと通話かけてもら、」
「な、なんだ〜!!よかった〜〜!!」
もらってただけ、という私の声を遮るようにして叫びながら、彼は突然机に突っ伏す。びっくりした、嘘でよかった、とおそらく本心であろう言葉を吐露する彼に、私も本気で安堵してしまった。
ちらり、と彼が少し拗ねた表情で顔を上げた。
……可愛い、なんて口が裂けても言えないけど。
「…もう絶対しないでね、心臓に悪いから」
「……うん。ごめんね」
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と様、リクエストありがとうございました!
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あいら - ありがとうございました!引くほど鬼リピします! (2021年12月7日 23時) (レス) @page39 id: 508c9e96c0 (このIDを非表示/違反報告)
つきりと - 長い間お疲れさまでした…!いつも楽しみに読ませてもらいました!!長編小説のほうも大好きです!!これからも応援してます! (2021年11月24日 14時) (レス) @page39 id: 91c51e0192 (このIDを非表示/違反報告)
あみだくじです(プロフ) - まめこさん» あっありがとうございます…!!!!! (2021年9月26日 9時) (レス) id: fe4eb2c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
音夢nemu(プロフ) - まめこさん» ありがとうございます、、、!! (2021年9月25日 23時) (レス) id: 927429c6cf (このIDを非表示/違反報告)
まめこ(プロフ) - あみだくじですさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!リクエスト承りました、お待たせしてしまうとは思いますが必ず書かせていただきます🙇♀️ (2021年9月25日 23時) (レス) id: 17312d353f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まめこ | 作成日時:2021年7月9日 22時