愛とか。 (ページ12)

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その日を境に、私たちは頻繁に出かけるようになった。家が隣だということも相まって、お互いの家で飲み交わしたり、お互い次の日も仕事なのに近所のファミレスで２時間くらい話していたり。まるで、学生時代に戻ったかのような、健全な付き合いだった。

…でも、私はそれを求めていない。

今、樹の隣にいるけれど、この立ち位置になりたかったわけじゃない。私の横で缶ビールを片手に、TVを観て笑う樹。久しぶりに会って、こうやってお酒を酌み交わす仲になりたいわけじゃない。

グッと溢れそうになった思いを閉じ込めるように缶の中のレモンサワーを仰いだ。

樹「…あー、もうこんな時間か。明日も早えし、戻るわ」とほんのり赤くなった顔を触りながら彼は言った。『うん、そうだね』としか返すことができなくて、缶をそっとテーブルに置いた。樹は、私の分の缶まで片付けていて、そのゴミたちを手に、自室へと帰った。

…やっぱり、何もなかった。

ないことはわかっているけれど、樹と私の関係はなんだろう、と１人になった部屋で悶々と考える。「男女の仲に友情は成立しない」という樹。…じゃあこの関係って？彼にとってはただの暇潰しなのかもしれない。本当は彼に彼女がいるのかも。

最悪の想定を考えながらベッドに潜り込む。

明日になったら忘れよう。
一度離れた私たちに、再燃なんて言葉は似合わない。

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