愛とか。 (ページ1)

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樹「A、おーーーーーい。……お前、わざと無視してんだろ！」

叫ぶ声、閑散とした３階廊下、３-5と書いた教室プレート、少しずつ近づいてくる規則的な足音。がらりと扉を開ける細長く伸びた身長の高い男の子。小麦色に程よく焼けたその顔は、１年生から同級生のみならず街中を行き交うおねーさんをも釘付けにする爽やかな笑顔を振り撒く。

樹「笑ってんじゃねーかよ」

『だってちゃんといることわかってるはずなのに、ちょっと心配になって小走りするじゅったんがかわいーからじゃん』

はあ？と片眉をあげて私を見下す樹を、突っ伏していた机から体を離しながら茶化す。不服そうな声を出しながらも、樹の顔は全然そうじゃなくって、むしろ私の大好きな柔らかい笑顔を貼り付けた彼だった。

樹「早く帰ろ」

さりげなく私の鞄を机から掻っ攫って、もう教室の外に出ていた。付き合い始めて半年、卒業まであと３ヶ月。優吾を通じて仲良くなって１年と少し。最初は優吾も入れて３人で帰っていたけれど、サッカー部の優吾を置いて2人で帰る頻度は少しずつ増えていったことがきっかけで３年になって少しして付き合い始めた。

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