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お互いに言いたいことを言い終わった後、残ったのは妙な静けさだけだった。
このまま黙っていれば、またトガに対して無駄に不満を募らせることもないのだが、俺が言いたいことはこれで終わりじゃない。
壁に寄りかかったまま、視線だけをトガに向ける。
「おい、わかってるとは思うが…間違ってもバカみてぇなことはすんなよ。」
俺の忠告まがいの言葉に、初めてトガは俺の顔を見た。
そして、いつの間にか消えていた笑顔を再び浮かばせると、トガはゆっくりと口を開く。
「……大丈夫ですよ。そんなことしたら殺されるってことくらい、私でもわかります。」
「…ならいいが。」
トガの返答に、俺は短く言葉を返した。
……俺はまたしても、なんのこと、とは言っていなかったのだが、それでもトガが俺の言いたいことをうまく掬いとる。
いちいち言葉にする手間が省けるものだが、裏を返せば、トガには俺の考えていることが筒抜けだということになり、それはそれで癪に障る気がした。
(微妙に信じきれねぇんだよ、此奴は…。)
＿＿＿俺の忠告まがいの言葉。
これは、正直最も怪しんでいることだ。
ヒーローや警察にAが見つかることは防げたとしても、トガ自身がAを逃がす手助けをする可能性を捨てきれなかったのだ。
だが、これまでのトガのAに対する素振りから言えば、この考えもただの杞憂になるかもしれない。
(今考えても、どうにかなるものじゃないな…。)
そして考えることをやめた瞬間、未だ床にあったある物の存在が俺の目を引いた。
俺の視線の先にあったのは、トガが持ってきたあのバッグだった。
(……そういや、まだここにあったな。彼奴、完全に忘れてるな。)
一度は持ち主の手に渡ったものの、どうやらそのまま置いてきぼりにされたようだ。
限界まで詰め込まれたのであろうその見た目は膨れ上がっており、その大きさ故にそれなりの存在感を醸し出していた。
(……っ何入れたらこの重さになるんだ。)
意外にも重いその重量に文句を言いながらも、俺は持ち上げたバッグを自分側の壁際へと寄せた。
＿＿＿ここまできて、しばらく沈黙が居座っていた。
トガも今や、1人でスマホを弄りだしている。
もう話すこともない俺は、ただAが戻ってくるのを待っていた。
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如月 - 荼毘さんかっこよすぎます！続き書いてくれると嬉しいです！(*´∇｀*) (5月15日 21時) (
レス) @page22 id: 144d29d1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふふ - 続きを正座待機。最高かよ!!!! (2023年4月14日 17時) (レス) @page22 id: bc020e7b09 (このIDを非表示/違反報告)
よっすぃ - 続きが見たいです……… (2022年12月16日 7時) (レス) @page5 id: 93ab21d600 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 続き…続き…続きｦ… (2022年12月5日 8時) (レス) @page22 id: 1a035e157b (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 続き…書いてくれると嬉しいです… (2022年12月4日 20時) (レス) @page22 id: 19794637f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那カイ | 作成日時：2020年1月19日 20時
