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Aがいなくなって、玄関には俺とトガの2人だけが取り残されていた。
俺にとって、胸の内に言葉にはしがたい感情を抱きながら此奴と2人きりというのは心底億劫だった。
このまま静かにAを待ちたいのが本心なのだが、それでも一つ確認しておくべきことがあった故に、俺は口を開いた。
「…………あれ、嘘だろ。」
「はい、嘘です。」
トガはいつも通りの笑みを浮かべたまま、そう言った。
なんのこと、とは言っていないが、トガには一発で俺の言葉の意味を理解したらしい。
俺がなにも言わずとも、トガは続けた。
「話し声からして…4〜5人はいましたよ。多分、Aちゃんの親御さんと、警察とかですね。」
「普通はそうなるよな。」
「物音立てずにAちゃんの荷物まとめるの大変だったんですよ！まあ、Aちゃんの部屋が2階だったことが幸いでしたけど。」
互いに一度も顔を合わせぬまま、トガは淡々と本当のことを話し始めていた。
……俺が確認しておきたかったこととは、Aがトガに聞いた、『家に誰かいたか』という問いの答えだ。
あの時、Aはトガの言葉をなんの偽りもない事実として受け入れていたが、俺にはどうも誤魔化したようにしか見えなかった。
「なんで本当のこと言わなかったんだ？」
「…そっちの方が、荼毘もAちゃんも、私も幸せになれると思ったからです。」
「俺はともかく、お前も入ってんのか。」
「私、Aちゃんのこと大好きです。だけど、会うためにはAちゃんが荼毘のそばに『いてくれる』…というのが絶対条件です。」
「『いてくれる』って言い方なんだよ…。」
「ともかく、荼毘がずっとAちゃんを手元に置きたいなら、外の世界を思い起こさせることがないようにするべきだと私は思ったんです。」
「そう言いつつ、お前はAを外に連れ出すんだな。色々矛盾してるぞ。」
「それとこれとは話が別です！私はAちゃんと遊んで、ゆっくりお話がしたいんです！もちろん、危ないことはしないので安心してください♪」
「……………………。」
ここまできて、俺はため息一つついた。
……此奴の自分勝手な思想と言動は、本当に付き合えるものじゃない。
だが、トガの言っていることが一理あるのも事実だ。
(だけど、それはAから『外の世界』を奪うことになる…。その中で彼奴は心から笑えるのか…？)
そして、結局は自身も自分勝手であると気づくのは一瞬だった。
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如月 - 荼毘さんかっこよすぎます！続き書いてくれると嬉しいです！(*´∇｀*) (5月15日 21時) (
レス) @page22 id: 144d29d1f5 (このIDを非表示/違反報告)
ふふ - 続きを正座待機。最高かよ!!!! (2023年4月14日 17時) (レス) @page22 id: bc020e7b09 (このIDを非表示/違反報告)
よっすぃ - 続きが見たいです……… (2022年12月16日 7時) (レス) @page5 id: 93ab21d600 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬 - 続き…続き…続きｦ… (2022年12月5日 8時) (レス) @page22 id: 1a035e157b (このIDを非表示/違反報告)
かのん - 続き…書いてくれると嬉しいです… (2022年12月4日 20時) (レス) @page22 id: 19794637f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那カイ | 作成日時：2020年1月19日 20時
