ショートストーリー集 (ページ9)

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聞こえるページ9

聞こえないはずの声が、聞こえる

そして、聞こえるはずの声が聞こえない

私は耳が聞こえない
でも、人の心の声は聞こえる

女の子達が、心配な顔をしながら、私に何か言っている

でも、聞こえてくる声は

『コイツ、耳が聞こえないとかカワイソーw』
『コイツに悪口言っても聞こえないよねw』
『きもっw』

そんな、顔とは真反対な声

神様はイジワルだ。
いっそ、何も聞こえない方がよかった

「ただいま」

学校から帰ると、母が笑顔で迎えてくれる

でも、
『どうせ、おかえりって言っても聞こえないのよね。どうしてこんな子が産まれたのかしら…』

「っ…。」

私は、必死に涙を堪えて笑顔をつくった

もう、私を見ないで、笑わないで…

好きでこうなった訳じゃない

神様なんて、大嫌い、大っ嫌い

『そんなに嫌わないでほしいなぁ？』

「っ！？」

目の前に、いきなり男の人が現れた

「だ、だれ…」

『オレ？オレは、お前ら人間が』くいう、神ってやつ

この人、私が耳が聞こえないのわかって、心の中で話してる…？

『オレ人じゃないwまぁ、これはテレパシーってやつ？』

っ！？心を読まれてる！？

『バッチリw心読んでるw』

「っ、神って、本当なんですか…？」

『もちろん。お前が嫌ってる神だぜ？』

「…。なんで、私は耳が聞こえないんですか、なんで心の声が聞こえるんですか…！」

『運命だから？』

「どうして、運命なんて決まってるんですか！」

『運命だからだ。運命ってことは、それに意味がある。どうして耳が聞こえないのか、どうして心の声が聞こえるのか、これからのお前の人生でその意味がわかるんじゃねーの？』

そう言って、ニカッと笑うと、私が反論する間もなく消えた

「理由って…、そんなの、あるわけないじゃん…」