ショートストーリー集 (ページ24)

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人形劇ページ24

今日も夜になった
今日も始まる
今日も人々が沢山集まってくる
今日も陽気な音楽と共に幕をあげる

僕の人形劇

僕の名前はA

僕の人形劇はこの町ですごく人気なんだ

お客さんたちは僕の劇を喜んで見てくれる

劇が終われば盛大な拍手をくれる

とても幸せな日々だった

そんなある日、僕は恋をした

いつも劇を見に来てくれる女の子だ

彼女は毎日劇を見に来てくれる

そして、毎日誰よりも大きな拍手をくれる

そんな彼女が大好きになった

だから、僕は彼女が喜ぶよう、一生懸命頑張った

そんな日が続いた

僕はその子がどんどん好きになった

彼女から花束が届くこともあった

【アキラとA君へ】

と書かれたカード付きで

アキラは僕の相棒だよ

僕はもう、好きをこえて愛してるに変わった

その日の夜、僕はその子が待ちきれなくて
会いに行った

道る立っていると、彼女が歩いてきた

そして、僕に気づいた

『A君？』

彼女は僕に近づいてきた

僕も彼女に近づいた

『えっ…？』

でも彼女は、僕が近づいた瞬間後ずさりをした

『なんで…？』

どうしたの？顔色が悪いよ？

『こ、来ないで…』

どうして、そんな事を言うの…？

彼女は走り出した

こんな夜に1人は危ない、待って！

『いやぁ！』

待って！逃げないで！どうして…やっぱり…

僕が人形だから…？

でも君ならきっと大丈夫だって思ったんだ

ほら、怖くないよ？

『こないでぇ…』

泣かないで…僕はただ…

「大丈夫！？」

えっ、アキラ…？なんで君がここに？

『アキラ！』

え、なんで二人は抱き合ってるの？どうして…？

「っ、A…なんで、動かしてないのに動いてるの…？」

アキラ、僕は彼女が好き、大好き、愛してるんだ

「く、くるな…」

なんで？今まで一緒に劇をやってきたのに…

「く、くるなぁ！」

《ガシャン！！！！！！》

アキラは近くにあった枝で、僕を殴った

僕の体は折れ、一部は砕けた

僕はただ、彼女を愛してただけなのに…

僕の描かれた目から、流れるはずのない涙が流れた

END