この手は ページ14
菊千「そして、お前に会った。A」
「…そっか。」
菊千「殺したご主人に似ているお前は、さらに俺の罪の意識を増幅させる。」
「…。」
菊千「なのに、俺がお前に好意を抱いていいわけがない。ここの奴らは皆いい奴だ、俺を受け入れ、過去を知り、お互いの傷をなめあう」
「傷舐めたら痛いよ」
菊千「…」
「すいません」
菊千「…はぁ…。」
「でもさ、なんで菊千が罪を感じなきゃいけないの?」
菊千「は…?」
「だってさ、菊千なにもしてないじゃん」
菊千「っ、お前、話を聞いていたのか!」
「聞いてたよ。聞いて、それでも菊千が罪を感じる事はないって思って言ってるの」
菊千「何故だ、俺は…」
「だって、やりたくてやった訳じゃないじゃん」
菊千「だとしてもだ!俺は、命を奪ったんだぞ!?」
「うん、そうだね。それで、菊千は一人になっちゃったんだね。辛かったよね。」
菊千「っ」
「そのAさんも、辛かった。菊千も辛かった。もう、いいんじゃないかな?」
「菊千、あなたは何も悪くない」
菊千「!」
「菊千、大丈夫だよ。もう、きっと許されてる。もう、罪に苦しまないで、苦しむのが償いじゃないよ。ちゃんと、生きて。前を見てすすんで、Aさんが生きれなかったぶん、菊千は生きなきゃ。その手は、命を奪った手じゃないよ。」
「だってほら」
そういって、俺の手を自分の手で包み
「こんなにも、あったかくて、傷だらけ」
刺繍の針などで怪我した手を撫でるA
「救えなかった命、奪ってしまった命。重いと思う、でもね、救った命、与えた命。これも重いよね。だからさ、菊千、これからは、何かを救って、与えていこうよ。この手でさ。」
そういって、ほほえむ
あぁ…
なんて、眩しくて、暖かい…
ご主人と、同じ微笑み…
ご主人…
菊千「俺は…許されるのだろうか…」
「うん、きっと、許してくれる。てかもう許してくれてるかもね」
菊千「…そうか……」
ご主人
天国とやらで、元気にしているか
俺は元気だ、死んでる犬が元気だというのもおかしいかもしれないが
俺は、ずっと後ろを見て、立ち止まっていた
何十年も、さまよいながら、止まっていた
だが、これからは、進んでみることにする
何十年も前と同じく、ご主人が暖かい光を教えてくれたように、Aが暖かい光へ導いてくれたから
だから、俺はその光へ、進んでみる
いつか、ご主人の元に行ける、許しを得るまで
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渓歌 - 面白いです!!更新頑張って下さい!! (2015年6月11日 19時) (レス) id: 22bfc30d09 (このIDを非表示/違反報告)
刹那@白狐(プロフ) - ひぢのさん» あんまり詳しくなくてすいません、他の方もやってるのでこれが普通だと思ってました以後気を付けますw (2015年3月12日 22時) (レス) id: 19f5b416e3 (このIDを非表示/違反報告)
ひぢの(プロフ) - なりきりチャットはサーバー障害の原因になってしまうため、ボードでお願いします。 (2015年3月12日 16時) (レス) id: 798cf01153 (このIDを非表示/違反報告)
刹那@白狐(プロフ) - 月影櫻詠さん» 弐平「…………………そうなの……?………………なら、いいけど……」 (2015年3月10日 20時) (レス) id: 46927fa2b7 (このIDを非表示/違反報告)
月影櫻詠(プロフ) - 刹那@白狐さん» 弐、平!大丈夫だぞ!! (2015年3月10日 15時) (レス) id: a24476e1ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那@白狐 | 作成日時:2015年3月1日 1時