S!N…凛音 ページ20
Queen とは。
日本語で女王、と訳すことが出来「王」に相当する女性の地位のことを指す。
幼い頃からこの地位に憧れてきた私。
まあ、今の日本でそんな地位なんて一般的にはあまり存在しない。
いや、私にはなれた。
学校での、という小さなものだけれど。
誰もが跪き、手の甲にキスを落として、そんな夢見心地な立ち位置が愛おしくて堪らなかった。
でも、誰もが想像する純潔で、威厳に満ち溢れた女性にはなれなかった。
否、存在できないのだ。
「あ、しんくん…!!」
今日もまた別の男の人に毒を刺す。
「お、Aさん。」
あんまりタイプじゃないけど。
ある程度整った顔で、男性だったら誰でもいいの。
私の欲望を
全部溢れさせて、全部掬ってくれる人。
そんな
欲しくて欲しくて頭が痛くなる。
「今から暇…??」
敢えて、腕は絡めない。
疑われてしまっては地雷だ。
「まあ、暇だけど…??」
ああ、条件が満たされた。
「あのね、しんくん。
私ね、しんくんのこと…」
「好きなんだろ??
そんくらい知ってるわ」
気持ち悪いくらいに自信ありげ。
「ちょっ…」
手を引かれるまま、
自身を委ねると壁の方へ誘導された。
壁ドン、あまり好きじゃない。
「いいだろ…??
お前、俺のこと好きなんだろ??」
なんて、顔を近づけてくる。
今までに無かったパターンで焦る私。
「え、あちょ…」
「なーんてな!!
てめえみてえなクソビッチに誰がキスするかよ」
「は?」
壁の前で硬直する私に、私が一番避けていた言葉を巧みに使って傷つけていくコイツ。
気に入らない。
「お前な、年中欲求不満かよ。
顔はマシなんだからもうちょっと他の方法捻れよ。」
「は、私の何を知って、」
「なんも知らねえよ。」
飽きれるばかりで吐きそうだ。
なんなの、この人。
「あ、でもお前のこと
惚れさせられる自信はあるから。」
「なによ、」
近づいて静かにキスを落とす。
別に好きじゃない人。
「ほらよ、俺にも言ってみろよ。
初めてなの、優しくしてって。」
「うるさっ、」
「顔赤くなっちゃって、
実は純潔なんじゃないの女王様??」
【ユリの花言葉は、威厳・純潔】❀
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