Eve…凛音 ページ11
今日も、いつもと変わりない人混みと平凡を掻き分けながら、仕事へと向かう。
ただ、夢に出てきたアイツが頭の中を往来するのが今日の苦悩だ。
イライラするのはきっと、
人混みと夏の暑さのせいだ。
�狒瓩�、帰ってきてよ��
いぶくん、
彼は私みたいな凡人とは違う。
生きてる次元からまず、
私とは釣り合わない。
釣り合わないはずなのに、彼は私に好きだとか愛してるだとか言う。
一緒に住んでも１週間で引っ越すし。
電話しても忙しいからあとでねって言う。
最近は既読すらつけてくれなくなった。
彼はもう、私よりファンを選んだ。
彼は私よりも顔も名前も知らないネットの世界の住民と、人生を謳歌しているのだから。
私が首を突っ込むシーンなんて、見当たるはずもない。
私ね、いぶくんがいつでも帰ってこれるように料理勉強してるんだよね〜(´ ˘ `∗)
今日、社長に怒られちゃった(´；ω；｀)
台風で傘壊しちゃったww(＞＜)
全部、既読はつかないけど。
毎日送っている一言メッセージ。
通知だけでも、
見てくれている可能性くらいはある。
何度も、何度も別れようって送ろうと思ってたのに、送信ボタンが押せないんだ。
いぶくんには、自分の楽しい事を貫き通して欲しいから、私なんかがいたって邪魔でしょ。
だから、ほら。
今日こそは送ろう。
今日は私の25回目の誕生日だし。
『…うそ、』
ふと、画面が一瞬で更新された。
私が彼にこつこつ送っていたメッセージが一気に既読に染まる。
いぶくんなかなか返事返せなくてごめんね
こんなことってあるのかな。
携帯を持つ手が震える。
返事が来た。
いまだに、信じられないけど、こんなことってあるんだな。
震える声で会社に電話して、電車には乗らず、そのまま家路に着く。
だって、彼が帰ってくるから。
いぶくん誕生日おめでとう!
カキツバタの花言葉は
�犢�せは必ずやってくる��
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