エピソード.2 ページ3
第2話《土砂降りの中の過ごし方》
．．．．．．．．．．．．．．．．．．
ぽつん
真っ青になった大きな葉から、雫が垂れる
少しの儚い音を残して消えていく
『ゴホｯ、……かハッけほ、』
寒い……
外は大雨。そんななかで傘もささず、レインコートも着ずにいる者は彼くらいだろう
顔が赤く、咳が出ている
目は虚ろで、今にも地面に倒れ込みそうだ
彼を気にするものは、もちろん誰一人としていない
『はあっ、は、ｯ……早く、はやく』
流行りの服を飾っているショーウィンドウ
そこに反射し写った彼は、彼にこう冷たく放った
《本当に、馬鹿なヤツだな
" あの人 " の言う通りにすれば、期待に応えられていれば……
今頃お前は幸せなのに》
『……ｯ
……うるさい、うるさいっ！！
幸せだって！？
あんな所ただの地獄だ！！！
お前は知らないだけだ！！
あの苦しみも！寂しさも！！
誰も助けてくれない事実をｯ！！
お前は、実感したことがないだけだろ！！？』
彼がそう叫ぶと、写った彼は消えた。
【出来損ない】
【おい、こっちに来い】
【こんなことも出来ないのか】
【お前なんていなければいいのにな】
積み重なっていく彼に向けられた罵詈雑言が
ひとつ、ふたつと背にのしかかっていく
心はもうズタボロで、所々縫い付けられたあとや包帯が巻かれていたり、まだ血が滴っているところもある
見るからに無様で、とても痛々しい
【死んでくれ】
頭の中にこびり付いた一言が、彼の心を引き裂いた
真っ二つに割れた心の中から、ドロドロと青いような赤いようなものが流れ出てくる
頭の中で何回も響いて、瞳を黒く染めあげてくる
彼に、もう希望なんてものはなかった
願望も、欲望も、夢も、愛も。
心の中から流れ出ていく。
全てが無くなってしまった心は、どうなってしまうのだろうか。
何の意思も願いも想いも、何も無い心に何があるのか。
存在しないはずの想いが、彼をただただ縛り付けていた。
『うるさい……うるさい……ｯ
もう、誰も俺に関わるな……！』
土砂降りの中、雨が涙かわからないが
彼の顔はぐしゃぐしゃに濡れていた
握りしめた手のひらには爪が食い込んで血が滲んでいた
『あんな所に、返されてたまるかよ
俺は、…………
一人で生きていくって決めたんだ』
自分の本心にも気が付かないまま、
自分で自分を傷つけていることを知ろうとしないまま、
自分で自分を隠して
彼は過ごしている。
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ちきちき:mikasa - まぁぬ。さん» 僕が出てきてビビりましたwwいやこちらこそ新作にコメントして下さってありがとうございます‼︎ (2022年12月1日 19時) (
レス) @page6 id: 375f3bd268 (このIDを非表示/違反報告)
まぁぬ。 - ちきちきさん» ブログ作ってないのでこちらから返信させていただきます！コメントありがとうございます！嬉しすぎます……！頑張ります！ (2022年11月30日 20時) (レス) @page1 id: 46fe260256 (このIDを非表示/違反報告)
ちきちき - 好みの作品すぎて爆発しそうです(真顔)更新頑張ってください！！ (2022年11月30日 19時) (レス) @page2 id: 375f3bd268 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんと。 | 作成日時：2022年11月30日 19時
