その手、掴んでもいいかな？【knmc】 (ページ16)

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ぼんやりとした頭で考える。あ、しまった。これじゃ死にたくないと言っているようなものだ。

「早く死にたいんですよね。だって決意がなくなる前に死んじゃわないと、取り返しがつかないから。そうですよね。あなたはまだ心のどこかで希望を持ってる。まだ捨てきれていないんです。ね、だから。やっぱり人間はそうなんですよ。という訳で、僕はあなたを好条件で雇うことができますが、一回聞いてみませんか。もちろん、弟さんは助けます。」

そうきたか。新手の勧誘か。ここはどうするのが正解だろう？

「ふふっ
新手の勧誘ですか。なるほどねえ、自’殺しそうになっている人を狙って、その人のかすかな希望を自白させることで、虚空教の布教をしようと。うまいですね。さすが日本全国に信者をお持ちの宗教の教祖様は考えることが違いますね。でも、生憎私はそういうのには全く興味がないんです。すみませんね。黙って他を当たってみたほうがいいかと。」

ここの正解は多分これ。自分はあなたの信者のせいでこうなったんですよ、という恨みを嫌味ったらしくぶつける。

「いえ、僕はあなたに信者になってほしい訳ではありません。僕はあなたを雇うだけです。大した仕事ではないです。ただ人手が足りないのと、話し相手がいないから、埋めてほしいだけですよ。」

全く効かなかったわ。