抱きつき症候群 【降谷零】

十話 ページ11

「最近セラミックの包丁が欲しいと思ってたんだ、普通の包丁より怪我もしにくい。あとフライパンもだな」

「零くんすごい楽しそうだね」


お店につくなり家庭用品売場を見つけてしまった。最新作の調理用具やら食器やら何やら……零くんの目がいつも以上にきらきらしているのである。楽しそうなら何より


「こうやってゆっくり買い物することも今までなかなか無かったからな。当たり前のことでもつい浮ついてしまうんだ」

「今日は一日時間あるんでしょ？ならゆっくり見ようよ、まだあんまりお腹もすいてないし」


幸せオーラ全開の彼を眺めるだけで満足である。だってこんな楽しそうな零くん、他の人は見た事もないでしょう？だからいいの。


「ついでだから日用品も買って帰ろうか、この間マグカップ割ったろ？せっかくだからお揃いの買おう」

「なんでバレてんの？？」



ついこの間、お茶でも飲もうと思ったところで手を滑らせてコップを割ってしまった。バレないようにめちゃくちゃ掃除したし、新しいマグカップも置いておいたのに、だ。私より家のことを把握しているこの人に、隠し事などできないのだろう。


「これでいいか？」

「思ってたよりファンシーだね」

終わり ログインすれば
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