第357話 上空の独り言 ページ8
NOside
下にいたときとは違い、冷たい風が頬を撫でる。
遠く、紅丸達が鬼と交戦する様を眺めていた。
一つ一つ、消えていく命の灯火を感じながら。
海『行かなくていーの？』
そう、妄想の親友が尋ねる。
見たところ、紅丸が苦戦している様子はない。
他の鎮魂も、第七は上手くやっている。
彼女が行く必要は、多分、ない。
貴『…ねえ、海呼音ちゃん』
か細い声で、Aが尋ねる。
それはとても不安そうに。
それは彼女にすがるように。
哀しい声で、Aは尋ねた。
貴『森羅たち、白装束に勝てるかな…………』
ポツリと、そんな夢を呟く。
きっと無理だと心の中で否定しながら
叶わないと薄ら笑いで諦めながら。
そんな、彼女にとっては途方もない夢を、望みを、呟いた。
海『………さぁ？Aが分からないなら僕も知らないよ。』
そうやって、彼女はAの質問にイエスともノーとも答えなかった。
ただあっけらかんとそう言って、Aの顔を覗き込むだけだ。
海『そもそもさ、勝っても負けても火穗が望む最期は変わらないんだから、考えたって意味ないだろ？』
貴『………うん、そうだね』
海『Aは何でもかんでも考え過ぎなんだよ！
必要以上に考え過ぎだし自分のせいにしすぎ！
…まあそんなAも大好きなわけだけども！』
そう言って、親友はAにギュッと抱きつく。
そんな彼女に、Aも頭を寄せた。
海『……ねえA、Aはもっと自分勝手に生きてもいいと思うよ。』
彼女がそう言ったとき、空に飛び出す一つの光があった。
ギュンッと物凄い速度を出すそれは光の柱を作り空へと登っていく。
間違いない。あれは紅丸と鬼の焔ビトだ。
海『だからさ』
流石だななんて思っていると、もう一つ炎が打ち上がった。
貴『っあれは…！』
狙撃手だ。
そう考える間もなく気がついた。
貴『(止めなきゃ)』
海『ぅわっぷ』
そう思って立ち上がる。
でも
『無理だ間に合わない』
そうやって、真っ黒い影がAを覆う。
色々な思考が頭を回る。
どうすれば助けられるか、
どうすればなんとかなるか、
どうすればどうすればどうすれば…！！
そう考えても、出てくる答えはたった一つで。
『無理だ。
届かない。止められない。守れない。
今回もまた、自分は、ただ彼が死ぬのを見届ける事しかできないのだ。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
