第386話 全部伝えるから ページ37
NOside
桜「っ…！」
Aの言葉に、少し詰まる。
…違う。桜備が言いたいのは、そういう事じゃ、
そんな顔をさせたいわけじゃ、ない。
桜「……違う」
静かに呟いて、再度、彼女の手を握った。
一度息を整えて、声にする。
何も取り繕っていない、桜備の気持ちを。
桜「…俺が、俺がただ、認めて欲しいんだ。
………俺が、Aの事好きだって事を。」
貴『………はい？？？？』
Aの困ったような顔が一気に困惑した表情へと変わる。
桜備の気持ちに気づいていたのかいないのか、
少なくとも今ここでそんな事を言われると思っていなかったAは大いに動揺し、手を掴まれている事も忘れて後ずさる。
貴『い、いやいや何いってんですか！？
ば、馬鹿な事言ってないで……』
桜「知りたいんだ。君の事が。
絶対嫌いにならないって約束する。…だから」
頼む。
そう、少し赤らんだ頬で、熱い瞳で
真っ直ぐ見つめて口にする。
その様子にAも引きずられるように紅くなっていく。
すっかり茹でダコになったAは口をはくはくと動かしてから………
貴『っ〜〜〜〜〜〜〜〜！！！！！』
桜「ゴフッッッ！！！！？」
ゴスンッと部屋に鈍い音が響いた。
桜備の頭にはAのチョップが突き刺さっている。
あまりの衝撃に緩んだ桜備の手から腕を引き抜き二、三歩下がる。
貴『…き！着替えてくるのでそれまでに頭冷やしててください！！！』
そう痛みに呻く桜備に言い残して、Aは足早に去って行ってしまった。
引き止める事もできず、床で伸びている桜備に茉希達はソワソワとした様子で近づいていく。
茉「だ、大隊長……！！」
桜「………………」
皆それぞれ桜備に声をかけるが、桜備は変わらず黙って床に伏している。
そんな中アーサーがいつも通り何でもない様子で声をかけた。
ア「ナイスファイト」
桜「頼むやめてくれ”〜〜〜！！！！！」
ワッと湧き上がる羞恥心にダンゴムシのように蹲る。
耳まで真っ赤にする桜備に女性陣はキャアキャアとはしゃぎだす。
自分でやったこととはいえ心底恥ずかしい。
でも、どうしてもやるしかなかった。
だって、全部言わなきゃ、さらけ出さなきゃ
………そうしなきゃ
桜「………あいつ、信じてくれないだろ……」
火「…………そうですね」
そのすぐ後、戻ってきた森羅がこの状況に酷く困惑した事は言うまでもない。
第387話 触れないで→←第385話 決めつけて、噛み合わない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
