第385話 決めつけて、噛み合わない ページ36
NOside
貴『そ、そもそも、病田はただ私が気を抜いた時の姿をちょっと見ただけだろ？
本当に”本当の私”を知ったら面倒くさくなって見限るに決まってる！』
環「お前…その言い訳には無理があるぞ…」
苦し紛れに言ったAの言葉に、皆納得のいかないという表情をする。
けれどそんな周りの様子をいにも介さず、彼女はそんな事はないとその意見を押し通した。
貴『アンタ等だって、このまま付き合い続けて行けばそのうち嫌になる。』
その言葉には、流石の桜備達もムッとした。
そりゃ、彼女との付き合いは訓練校が一緒だった森羅達でさえそれほど長くない。
その上、今まで偽りの彼女しか見てこなかった桜備達が、Aの事を知っているとのたまうのは、あまりにもおこがましい事だ。
けれど、
…それでも、少しずつだけれど、Aの事は分かってきたつもりだった。
確かに、扱いは酷く難しいし、
同接せればいいのかわからず、”いつもの彼女”でいてほしいと思う事もある。
……でも、少なくとも、この数日で知った彼女は
彼女自身が言うような、”誰もが嫌うような嫌な人”ではなかった。
桜備達を騙し、酷いことも言うけれど、言葉の端々から隠しきれない思いやりが溢れ出ていて。
どうして、そんな心優しい子を嫌おうだなんて思うだろうか。
………けれど、そんな事を言っても、彼女は納得しないのだろう。
どれだけ説得を試みても、一度決めつけた事を曲げることは無い。
そんな頑固さを、桜備達はよく知っている。
この短期間でも、十分に思い知らされた。
…だから
桜備は静かに彼女の手を取って、まっすぐ目を見つめた。
桜「だったら、教えてくれ。
……Aの事、全部。
絶対嫌いにならないって、証明するから。」
もう一度、優しい声で彼女のAを呼ぶ。
Aは少し驚いたような顔をして、それからただ困ったような笑顔で微笑んだ。
肯定も、否定もしない。
……けれど、その目は明らかにさめていて。
同情すら感じるその笑顔に、桜備は一層虚しさを感じた。
貴『……別に、いいんですよ』
スッ…と握られた手を解いて、優しく彼の手に触れた。
優しく、優しく。
まるで、幼子のわがままに付き合うような声音で、彼女は告げた。
貴『別に、認められたいなんて、思ってませんから。』
気を使う必要無いんですよ、なんて。
的はずれなことを言って。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
