第374話 俺達は何も ページ25
NOside
桜「A………A……！Aっ………………！！
ごめん、ごめんごめん……！！
すまな…かった………………」
何も、分かっていなかった。
何も、分かろうとしなかった。
分かっていたつもりだった。
寄り添っていたつもりだった。
でも、それは全部ただの自分勝手な自己満で。
昔から、言われてきた言葉。
「自分勝手な行動は慎め！！！」
それでも彼はまっすぐ突き進んできた。
自分の意見を、信念を貫いて。
………でも
貴『…………泣かないで』
パタ……パタタッ……
桜「ごめんよ…………」
今回ばかりは、挫けそうになる。
呑気な戯言を言っていた自分が嫌になる。
今もなお、目の前の"あの子"は、絶望のドン底にいるのに。
どうして、自分は。
桜「(何も、何も出来ないんだ………！！)」
自分の無能さに、不甲斐なさに、涙を溢す事しか………
紅「(………最初から、違ったんだな…)」
視点も、意見も、立ち位置も。
何もかもが、自分達とは別次元だった。
…いや違う。
そこにいる。確かにいるのだ。目の前に。
……でも、触れられない。
同じ場所の、裏側にいるみたいに。
こちら側の人間ではないのに、周りに合わせて、溶け込んで。
そこにいないのにいるふりをして。
そんな違和感が、気持ち悪かった。
人間味なんて、無くて当然だった。
気味が悪くて、正解だった。
目の前の少女は、人間のふりをしているだけの、正真正銘の物のなのだから。
歪んで割れて壊れてぐちゃぐちゃになって。
そんな破片を集めて溶かして型に流し込んだみたいな。
そんな破綻した人格で。
それをまた壊して割って繋ぎ止めて貼った仮面で、
普通を演じてる。
ただ、そんなハチャメチャな模様の中から見える人となりに、
今回、ほんの少し、自分と似たものを感じた。
紅「(……もし、あの時紺炉が死んでいたら)」
自分も、こんな風に？
…そんなわけはないと頭では理解してても
想像すると背筋が凍る。
"俺のせいで、紺炉が。"
そんな負い目で、頭を避けていたのに
もしも、紺炉が死んでしまっていたら、一体。
貴『大隊長…』
少女は申し訳なさそうな顔で桜備を見つめている。
…目の前の彼女は、ただ、責任感と罪の意識だけで突き進んでいる。
それ等が全部解消されれば………
…………いや…本当は、今も、ずっと。
紅「(……きっと、俺なら今すぐにでも…お前を開放できるんだろうな…)」
その、生き地獄から。
………そう、思っても。
…紅丸がそれを口に出す事は無かった。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
