第373話 記憶シュレッダー ページ24
桜備side
…ああ、思い出した。
思い出した、
思い出した
思い出した………
あの日、死体の上で笑う女の子の笑顔に、俺は絶句したんだ。
必死に平静を取り繕おうとしてて
でも隠しきれない不安そうな顔が痛々しくて。
炎の中に飛び込むあの子が、そのまま中から出てこないんじゃないかと、不安で
俺はあの子に付いていったんだ。
燃える部屋の中、プレゼントを開けたあの子の表情がほんの少しだけ緩んで、俺は少しホッとした。
でもそれでも彼女の表情は固くて、青い顔をするあの子に、安心してほしくて、俺はその子のぬいぐるみを褒めたんだ。
"君そっくりで可愛らしい"……って。
その時、上手く笑えてたかは分からない。
その子は嬉しそうにはしてたけど、それでもやっぱり表情は硬いままだった。
どうにか、
……どうにか………
……………どうにか、できなかった。
別れるその瞬間まで、あの子の笑顔は不安に満ちたままだった。
どうして、あの時手を伸ばさなかったのか。
あの後何度も後悔した。
あの後何度も心配した。
何か自分にできることがあったんじゃないか
もっといい対応があったんじゃないか
そんな事を考えては、自分にそこまで入り込む余地はないと首を振った。
少し焦げ跡のあるテディベアを見ては、心配して、大丈夫だと自分を言い聞かせた。
大丈夫
大丈夫。
あの子はきっと、俺の知らないところで上手くやってる。
……そう思い込んで、そのうち忘れた。
あの特徴的な瞳と一緒に。
"貴『ありがとう！大隊長っ！』"
あの時、凄く安心したんだ。
忘れたふりをしてても、それでも心のどこかで、心配してた。
だから幸せそうに笑ったAを見て、嬉しくなった。
俺は間違ってなかった。
あの後、あの子はちゃんと立派に…！！！！
貴『…………大丈夫ですよ』
ゆっくりと、Aが立ち上がった。
その声は穏やかだったけれど、漂う雰囲気は異常で。
貴『ちゃんと、約束は守ります。
アンタが、森羅が。……満足するまで。
私はアンタについていきます。』
フラリと立ち上がった彼女は、静かに、こちらに微笑みかけた。
貴『大丈夫ですよ。どうせ"私は"死にませんから。』
あの頃と比べて、随分と整った作り笑顔。
間違ってなかった。
……正しかった。
そう、思い込みたかった………
桜「(何やってんだ、俺は……)」
救いたい。だなんて……
俺にはそんな資格もなかったのに。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
