第370話 ない、ない。なにも ページ21
NOside
貴『………困ったなぁ…
そういう感情論になると、平行線になっちゃうんですよねえ…』
そう脱力しながら、Aは微笑む。
まるで幼子の我儘でも聞くような、優しい声で。
貴『まあ別に言いたくないわけじゃないんですけど』
桜「エッ」
貴『別に言いたくないなんて言ってないでしょう』
サラリと言ったAの言葉に桜備は驚いて固まるが、Aは気にせずクルクルと前髪を弄っていた。
貴『というか、私ちゃんと答えたはずなんですけどね。
別に、何も。………って。』
スルリと絡んだ髪が解けで落ちる。
ちらりと紅丸の方を見て、返答を待つ。
紅「………」
貴『別に、目的もなく生きてる人なんて、どこにでもいると思いますけど？
…別に、やりたい事なんて。何んもないですよ。』
全部、全部。
やらなければ行けないことだから、やってるだけ。
やりたくてやってる事なんて、なにも……
紅「…気持ちわりいんだよ」
ボソッと紅丸が呟く。
それはあまり大きな声では無かったけれど、
それでもちゃんとAにも聞こえて。
けれど、Aは眉一つ動かさず、ただ紅丸を見つめた。
紅「気持ちわりいんだよ…ここに来たときからずっと…！
ちっとも人間味が…」
貴『そりゃ人間じゃありませんし』
かぶせ気味に、またあっけらかんと告げる。
そしてそれを証明するように、自身の首を炎で掻っ切る。
止める暇もなく、彼女の首は焼き切れて。
溢れた炎が、切れた首をつなぎ、切り口を塞いだ。
貴『ほら、ね』
紅「…………」
まだ炎の残る首元に触れながら、A目を閉じる。
これが現実だと告げるように
諦めろと言うように彼女は笑った。
桜「………違う」
貴『この姿を見て、まだそんな寝ぼけたこと…』
桜「それでも！…それでも、
Aは ぬいぐるみもらって大はしゃぎしたり
両親の事で怒ったり笑ったりする
ちゃんと人間味のある子だ！！！」
貴『うぎゃぁぁぁぁあ！！！？！？』
桜備のそこそこ大きな声が響く。
さっきまでの余裕はどこへやら顔を真っ赤にしたAがそれをかき消すように悲鳴を上げた。
ビュンッと柵から桜備のもとへ瞬間移動をしてなんで言った！！！？と桜備の襟首を掴む。
貴『ねえそれ別に言う必要ないでしょ！！！！？』
桜「いや、Aの人間味のある所を言っただけで…」
貴『意味分からん！！そんな恥ずかしいエピソード暴露するなよ！！！！！！！』
ガックンガックンと桜備の首が揺れる。
紅丸の目の前で起こるその光景は、とても滑稽なものだった。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
