第365話 素晴らしき大団円 ページ16
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静かな上空で、風の音だけが響く。
屋根の上で微笑む彼女は、どう見ても嘘をついているようには見えなくて。
それでもその言葉を素直に受け止めきる事ができなくて。
ただ目の前の彼女を見つめることしかできない。
紅「テメェは……」
その先の言葉は、続かない。
ただ目の前で笑う少女が不気味で。
ただ、静寂が続いた。
そんな時
紺「おーい！若！森羅！いつまでそこにいんだ！
さっさと降りて来い！
町の奴らが宴だ何だって酒盛り始めちまった！」
そう、下から紺炉が紅丸達に声をかける。
下を見れば確かに町人達が酒を掲げ何かこちら早く下りてこいと叫ぶ姿が見える。
森羅達がどう答えようか口ごもっていると、それまで下に姿を見せていなかったAがヒョコッと顔を出した。
貴『紺炉中隊長〜！
この櫓どっかに降ろしたいんですけど丁度いい場所とかありませんかー！？』
紅「な、」
紺「お前ずっとそこにいたのか！？
あー…じゃあそこら辺の広場に降ろして置いてくれ！！」
何事もなかったかの様にはーいと答えるAに
森羅たちはそれぞれ不満げな顔をするが、
Aは話はここまでだと言わんばかりにその顔を無視した。
しっしと森羅達を追い払う様なジェスチャーをして、空に浮かぶ櫓を動かす。
何事もなく地面へと着地して、屋根から飛び降りると桜備達が慌てたように駆け寄って来た。
桜「A！！」
駆けつけてきた桜備達に軽く説教を受けながら、Aは空を見上げる。
そこにはもう既に二人の姿はなく、ただ綺麗な夜空が広がるだけだった。
貴『(さて、どうしようか)』
伝えるべき事は、もうほぼ全て伝えた。
きっとこの話は森羅や紅丸から桜備達にも届くだろう。
…まぁ、たとえ伝わらないとしても、それはそれだ。
どちらにせよ、Aがする事も、すべき事も変わらない。
勿論その先にある結末も。
貴『(私の最後は処刑台だ)』
人々を騙し、沢山の人に手を掛けた罪として
裁判で処刑を言い渡される。
彼女を信じていた人達は裏切られた事に憤慨し
彼女を好いていた者たちは騙されたと失望する。
そうして処刑台に立たされて、無残に殺されて。
その事に皆喜び、笑って
次第に忘れ去られていく。
貴『(ああ、なんて素晴らしい結末だろう。)』
悪は滅ぼされ、人々は安心して笑える日々を手に入れる。
そんな、ハッピーエンド………
……ああ、でも
桜「…A、聞いてるか？」
そんな中でも、ただ一人彼は泣くのだろうと思うと
ほんの少し、ほんの少しだけ
貴『聞いてますよ。大隊長。』
申し訳ない。なんて、頭の隅で思った。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
