第361話 What do you want ページ12
NOside
貴『…………別に、何も？』
ニコッと笑って、首を傾げる。
誰がどう見たって嘘だ。
だって彼女は言ったのだから。
“白装束を全員殺す”と。
紅「すっとぼけんな」
貴『すっとぼけてなんかいませんよ』
睨む紅丸に対し、Aは呆れた顔でため息をつく。
別にすっとぼけてなんかいないともう一度呟いて、Aは視線を逸した。
貴『私が白装束を殺すのは義務であって希望じゃない』
そう話すAに二人は少なからず驚きの表情を見せる。
まさか好きで殺してるとでも思ってたのか？と伏し目がちに笑うAに言葉を詰まらせた。
貴『…私が白装束を殺すのは、そうしなきゃいけないから。
…そうするべきだから。』
森「…なんで、」
貴『…なんで？なんで……
そうだなぁ………約束を守るため？』
そんな風に、Aは随分昔の事を思い返す様に言う。
どこか遠くを見つめる彼女に、森羅は冷や汗をたらした。
紅「その約束ってのはなんだ」
貴『両親との約束。
……白装束から逃げてって、そう言われたから。』
強い風が吹いて、彼女の前髪を持ち上げる。
暴れる髪の間から見える彼女の目はどこか生気が無くて、恐ろしかった。
森「っ逃げるだけなら、殺す必要なんて…！」
貴『………そうだなぁ………
……そうだった、はずなんだけどなぁ………』
Aはそう言って、自分の手のひらを見る。
少し煤のついた、いつもどおりの自分の手だ。
そんな手を見つめて、Aはまた目を伏せた。
貴『一回殺して、タガがはずれたんだろうな。
…気づいたんだよ。
解決するまで逃げ回るより、全員殺して自分で解決するほうが早いって。』
ギュッと両の手を握る。
歪に釣り上がる口元。
その瞳は相変わらず虚空を見つめていた。
貴『どうせ逃げられないなら、全部ぶっ壊すしか無いだろ？』
ニコッと、形だけの笑顔を作る。
少しも感情が乗ってない、気持ちの悪い笑顔。
どうしょうもなく、痛々しい、笑み。
その顔はどこかそれすらも叶わないだろうという諦めを感じて。
紅「だったらそうすりゃいいだろ」
そうさらっと言い放った紅丸に、森羅は息を詰まらせた。
紅丸の言葉に、Aはヒクリと頬を引きつらせる。
紅「ブッ壊してえなら、直接殴り込んでブチ壊して来りゃいい。
んなまどろっこしい事して、何になる？」
貴『……うるせえよ』
紅丸の最もな言葉に、Aはただうつむいた。
分かっている。わかってるのだ。そんな事。
貴『私が一番、よく知ってんだよ………』
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
