第350話 狂った舞台で踊りましょう ページ1
NOside
貴『私が私を隠すのは、
あくまで私の行動をしやすくするため。』
ニコッと、彼女はまた"完璧に"笑う。
やはり、桜備の言葉は届かないようだ。
貴『化物であることも、私の目的も、
私の全部の異常さは社会で生きるには邪魔すぎる。
だから隠す。
…ほら、私を信頼する駒はいくらあっても困りませんし？』
桜「っそうやって…！」
貴『騙される方が悪いんでしょう？』
そう言うと彼女は桜備の手をゆるく振り払った。
まるで踊るように後ろ手に歩いて回る。
貴『でも別にいいでしょう？その分私は夢を見せてるんですし。
そもそも白装束が関わらなければ私は"理想の私"のままでいていてあげるんですから！』
ニッコリと笑って、手を広げた。
まるで舞台に立つ演者のように。
エンドロールのその時まで、彼女は演じ続ける。
小休憩はもう終わり。
彼女は演じる。
何でもできて、皆から尊敬されて、かっこよくて、強くて
そんな、特殊消防隊隊員で、訓練校を主席で卒業して皆の委員長だった、緋雁家の娘のA 緋雁。
貴『(まだ、"皆の理想の私"には程遠いけれど)』
それすらも隠して、彼女は演じる。
…だって、そう。彼女はA 緋雁だから。
皆から期待され、憧れを向けられ、尊敬される。
A、緋雁だから。
"素の自分認めて欲しいわけじゃない"？
…違う。
貴『("素の私"なんて、認めて欲しくない)』
化物な自分なんて
残酷な自分なんて
こうすることでしか、抗えない自分なんて。
貴『(そ ん な 私 は い ら な い か ら)』
一瞬、ほんの少しだけ憐れみのような感情が瞳に映った気がしたけれど、それはまたすぐに消えて。
上辺だけの笑顔で笑ってから、また少し怒ったような、呆れたような顔を作って言った。
貴『ほら、さっさと避難誘導なり、合流なりしますよ。』
そうやって、彼女は正気なフリをした。
いつもどおり、いつもどおり。
貴『……ね？』
どうやらかなり納得のいかない顔をしていたらしい。
Aが幼子をあやすようにAが言う。
納得はいかない。
それは皆同じ気持ちだった。
けれどいろんな感情が入り交ざって、言葉にできない。
どうしたいのか、彼女にどうしてほしいのかもよく、分からない。
ただ、ただ嫌だった。
何が嫌なのかすらもうまく言えないけれど
ただ、本当に。
桜「(納得、できないんだ…)」
なんとも言えない空気の中、悲鳴と喧騒だけが響いた。
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カスタード - いつも楽しみとして読ませていただいています！夢主ちゃんの性格がグサリと心に刺さりました！これからも応援してます！ (8月18日 20時) (
レス) id: 82acadb6d2 (このIDを非表示/違反報告)
うま - じっくり読ませていただいてます！更新頑張って下さい！！ (7月16日 0時) (レス) id: 4d8aeac2a6 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - ちるちるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！更新頑張ります！！(血涙) (2023年3月8日 0時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月7日 19時) (レス) id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
3度の飯より推しが好き(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！かなりの不定期更新となってしまっていますが、気長に待っててくれると嬉しいです！ありがとうございます！ (2023年3月5日 22時) (レス) id: e76870b0ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2022年12月15日 15時
