喜劇で悲劇の人形劇第五幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ3)

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第202話殺すときは躊躇なくページ3

NOside

瞳孔をかっぴらき、青筋を浮かべる額とは対象的にニコリと釣り上がった笑み。

あまりにチグハグな彼女の表情に、森羅はゾッと背筋が冷たくなるのを感じる。

このまま立ちはだかっていたら、自分は殺されてしまう。

そう思ってしまう程彼女から放たれる殺気は恐ろしく、浮かべる笑みは気味が悪かった。

今すぐにでもここから逃げ出したかった。

…けれど

森「っ、だめだ！！俺はどかないからな！！」

このまま烈火を殺させるわけには行かない。

森羅がそう少し震える声で言うと、森羅の後ろで膝をついていた烈火が立ち上がり、驚きの声を上げた。

烈「！！蟲が…！？」

その言葉に咄嗟に振り向くと、烈火の持つ蟲がカリカリと瓶を掻いているのが見えた。

病「森羅日下部の炎に、反応してる…」

呆然とした様子で己の持つ蟲を見る病田。

あの炎に還ろうとしているのか…！！

そう、烈火が呟いた、その時

貴『……………は、』

Aは、そう、小さく、小さく声を漏らした。

その震えた小さな声は、誰にも届くことはなく空に溶けた。

森「なんだ！？何を言ってる！！」

いきなり意味不明なことを言い出した烈火に森羅がそう尋ねるも、烈火は聞いちゃいない。

今日はツイてると蟲の入った小瓶を握りしめた。

烈「こんな所にいたのか……伝導者が探している三人目ー…

穢レ無キ炎！"アドラバースト"！！」

烈火がそう叫んだ瞬間、後ろからAの気配が消えた。

森「っ！！待っ…！」

森羅が慌ててAの方を向いた時には既に彼女の姿はなく。

驚いてすぐまた後ろを振り向くと、Aはどこからともなく炎を取り出し、なんの迷いもなく烈火の喉元へと振りかざしー…

森「A！！」

烈「こっちだってそう簡単にやられるわけには行かないんだ…ぜっ！！☆」

言い終わるのと同時に、烈火の炎の拳がAに突き刺さる。

モロに腹へと攻撃を食らったAは吹っ飛んで仕舞うかと思われたが、Aは一切怯むこともなく片手で烈火の襟首を掴み、もう片方の炎(凶器)を握った腕を

貴『死ね』

烈火へ向けて、躊躇なく振り下ろした。

森「落ち着けェェ！！」

バキッと、Aの横腹に重い一撃が突き刺さる。

流石に森羅の渾身の一撃には襟首のほうが悲鳴を上げ、服が千切れると同時にAは横へと思いっきり吹っ飛ぶ。

ゴロゴロと転がったAは、直ぐに起き上がることはなく、ただその場に横たえていた。