喜劇で悲劇の人形劇第五幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ12)

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第211話狙撃手現るページ12

NOside

貴『分からない、なんで、なんで…？』

…けど、"そう"なんだ。

Aは掠れた声で呟く。

ダラダラと脂汗を浮かべ、苦しそうに。

でも確信を持ってAは訴える。

貴『知らない、分からない。

でも、コイツは、奴等は、そういう……』

そういう、奴等なんだ。

Aがそう言った時、突然飛んできた何かが、烈火の胸を貫いた。

貴『っ！？』

環「なに！？」

攻撃の勢いのまま床がえぐれ、瓦礫や土埃が舞う。

あまりに唐突のことにカリム達も対応できず、何があったと烈火の方を見つめる。

少しして、土埃が収まった頃、森羅たちの視界に入ったのは…

森「え！？」

貴『……………』

ドプンと氷の穴から血を流す、胸に穴を開けたまま氷る烈火の姿だった。

貴『…あぁ、ほら、やっぱり』

コイツ等は、そういう奴なんだ。

そう、Aは震える声で呟いた。

ﾌｫ「一体何が起きたのです…」

環「っ烈火中隊長！！」

皆唐突な烈火の死に少なからず動揺する。

状況を把握しようと動こうとしたとき

貴『っ後ろ！！』

中隊長二人の間にドパンッと2発目が打ち込まれてきた。

森「また！？」

自分が狙撃されたことに驚きながら一体どこからとあたりを見回す。

とにかく柱の影に隠れろと環達に指示するA。

環が分かったと言って子供達を影に隠そうとした、その時

ドンッ

環「えっ」

貴『ッ環！！！』

今まで気配を消していた病田が、思いっきり環の背中を押した。

バランスを崩したとき、外からキラリと狙撃手の炎が見えた。

環「(あ、死ぬ)」

避けられない。

そう悟ってしまった。

炎への耐性のの強い自分は生き残るかもしれない。

…でも、近くにいる子供達は………

もう、矢先が目の前までやってきた。

そんな時、グイッとAに肩を押しのけられて

シュボッ

環達を貫く筈だった炎の矢は、Aがあっという間にかき消してしまった。

貴『ッ大丈夫か環！！』

環「あ、あぁ！子供達も大丈夫！！」

尻もちをつきながらも、ハッとして環は答える。

そんな環にAは少しホッとしたような表情を見せ、それから静かに環の後ろを睨んだ。

貴『お前…！』

病「こ、こうしないと私が殺されちゃうんですもん〜！！」

慌てて目に涙を浮かべながら言い訳する病田。

そんな病田にAヒクリと口角を上げて、

…そのまま、口を閉してしまった。