喜劇で悲劇の人形劇第五幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ1)

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第200話急げ！烈火の元へ！ページ1

NOside

意気揚々と話す病田を前に、ズキンと頭が痛んだ。

ハッとして廃工場の方を見れば、始まりました？と彼女が楽しそうに聞いてくる。

病「さぁどうしますヒカリ様？

一人くらい仕方ないと諦め無視して行きますか？

それともこのまま私と一緒に烈火中隊長の作戦が終わるのを待ちますか？」

どちらを選んでも、私は一向に構いませんよ！

そう笑う病田に冷や汗を垂らすと、今度は先程とは比にならない程の頭痛がAを襲った。

貴『っﾞぅ！？』

突然の強い痛みに、思わず顔を顰めるAに、病田は変わらずニコニコとこちらを見つめている。

中々痛みが引かない。

いつもならば、すぐに収まる筈なのに。

貴『(そういえば、前にも、こんな………)』

そんな事を考えながら上を見た時、ヒュッと息が詰まった。

森「あの廃墟の方で何か光った気がしたんだけど…」

それは、廃工場付近を飛んでいる森羅を、見つけてしまったから。

どうして

あっちへ誘導した筈なのに。

そんな事を考えたって時間の無駄だ。

貴『(方向からして現場があそこなのは間違いない…！！)』

このまま、森羅が先についてしまったら。

ドッと汗が吹き出し、次の瞬間には病田を担ぎ、走り出していた。

病「わっ！ちょ！？」

貴『喋ってると舌噛むぞ』

驚く病田を無視して走り出す。

急がなければ

急がなければ

急がなければ

なんとしても、森羅よりも先に。

貴『(走ってる私より飛んでるあいつのが圧倒的に早い…！

頼むからそのまま気付かずどっか行ってくれ！！)』

……けれど、そんなAの願いは即座に打ち砕かれる事になる。

ボッ！！

森「なんだ！？」

気のせいかと森羅が背を向けた時、廃墟から二本の炎の尾が勢いよく飛び出した。

貴『ッ環！？』

廃墟の方に森羅が飛んでいくのが見える。

…どちらにせよ、環がいるのだとしたら、堂々と烈火は殺せない。

彼女のしたことは、全くの無駄で。

貴『ちっくしょォォ！！』

ダンッと換気扇を蹴り、軒先の小さな屋根に飛び乗ってそのまま窓枠に足をかけ2階建ての建物の屋上へと飛び乗る。

病「っ〜〜〜〜！？！？」

声にならない悲鳴をあげる病田の事など気にしている余裕はない。

今はとにかく少しでも早く森羅達の元へとたどり着かなければならないのだから。

貴『(頼むから、無事でいてくれ…！)』

もう、知人が燃える姿だなんて、見たくはないから。