喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ50)

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第199話あの子は生粋ストーカーページ50

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怒りのままに彼女を殺しそうになる。

けれどそんな感情をぐっと抑え、Aは静かに呟いた。

貴『…お前、いつから白装束になった？

"その呼び方"を始めたっつー事は少なくとも中学卒業後だろ。』

病「はいっそうです！」

白装束に入ったのは大体1年前くらいですよ〜と病田はAの胸に顔を埋めながら答える。

そんな勝手な事をする病田に離れてくれないかと無理矢理引き剥がすと、彼女はものすごく不服そうな顔で渋々距離を取った。

病「きっかけは蟲を入れられた事ですよ」

貴『蟲を…？』

訝しげな顔をするAにはいっ！と病田は満面の笑みで答える。

病田いわく、彼女は"適合者"らしい。

病「適合者の子供を見つけて能力を持つ仲間を増やす事。

それが今回の私達の目的です♡」

貴『…洗脳しやすい子供を攫うっつー訳か』

大正解！だなんて病田は相変わらず馬鹿にしたような態度でこちらに接してくる。

そんな彼女の態度にAがただ白けた目線を向けると、でもこんなったのはAちゃんのせいでだよ？と病田はまるでこちらを責めるように言った。

病「私がこうなったのはAちゃんが白装束を殺してるのを見ちゃったからなんだから！」

病田の言葉に、ブワッと全身の汗が吹き出す。

そんな、まさか

一体いつ

そんな風に思考が回る中、でも全然気にしてないよ！と病田は話続ける。

病「ストーキングしてたのは私が悪いし、ちょっと熱かったけどそのおかげで私、発火能力にも目覚めたから！」

そう言う彼女の手にはいつの間にか小さな蜘蛛が。

………いや、ただの蜘蛛ではない。

炎でできた、オレンジ色の、蜘蛛だ。

貴『…それが、君の…』

病「そう！私の発火能力！」

そう嬉しそうに言うと、あっという顔をする病田。

烈火中隊長に敬語で話せって言われてたのに…と呟いて、慌てて砕けた口調を正した。

病「可愛いでしょう？

この能力、戦闘ではゴミですけど半径5mくらいの熱源を把握できるんですよ！

大体の熱量や大きさでそれが何なのかも大雑把に分かるんです！」

少なくとも人かそうじゃないかくらいは簡単に分かりますよと笑顔で言う病田。

熱量も少なく、淡く光る程度であまり目立たない。

半径5mと聞くとあまり利便性があるようには思えないが、それが何十、何百もの数が等間隔に設置されていたんだとしたら。

ここらへん一体の人の流れぐらい簡単に把握出来るだろう。

病「でもヒカリ様は一際分かりやすいんですぐに見つけられますよ！」

そう言った病田に、Aは口元が引き攣った。