喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ43)

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第192話手を貸すなんて一言もページ43

NOside

カ「…それで言うなら、どうしてお前は俺に森羅達の事を話さなかった？」

森羅達に助け舟を出すように、カリムがそう尋ねる。

"個人的に情報を共有していた"と言う割に、Aの口から森羅達の話は全く出てこなかった。

その事について追求すると、Aはチラリと冷たい目でこちらを見て、それから言いませんでしたっけ？と愛想よく笑った。

貴『無駄に情報を話して相手を危険にさらすくらいなら、私は一人で全部解決するって。』

Aの回答に、カリムは押し黙る。

それは、"もし人体発火の手がかりが信じてもらえないような内容だったら。"彼がそう尋ねたときの、Aの返答だった。

貴『…もし私がそんな状況になったら、きっと誰にも言わず、一人で証拠を集めるでしょうね。』

そう答えた夕焼けに照らされる彼女の横顔にカリムは何故だと尋ねると、

何故って、信じてもらえないのに言っても無駄でしょうと、Aはまるで茶化すように笑った。

貴『…それに、中途半端に話して相手が危険にさらされるのは嫌ですし？』

でも、もしアンタがその信じてもらえないような手がかりを持っているなら、教えてください。

そうAが急に真剣な顔でこちらを見る。

貴『どんな手がかりでもいいから、私は知りたいんです。』

真実に近づくために。

カ「…そう言うから、俺は全部お前に話した。

それなのに第八の事を言わないってのは不平等じゃないか？」

貴『第五の研究については言ったじゃないですか』

カ「俺は今第八の事を隠していた事について言ってるんだ」

たとえ森羅達を危険にさらしたくなかったのだとしても、自分にそれを伝えないのはおかしい。

そう、カリムが言うと、Aは小さくため息をつき、分かんねえかなァ…と呟いて

貴『私はお前の事信用してねえつってんだよ。』

そう言って、静かに銃口を向けた。

森/ア「「！！」」

カ「………どういうつもりだ」

静かに、カリムが尋ねる。

けれどAは変わらず冷静な声でそのままの意味だが？と白けた目でカリムを見つめた。

貴『お前が蟲を入れた男じゃ無い証拠なんてどこにもない。

私は別にお前と手を組んだ訳じゃない…

…蟲の存在を知るお前を監視してただけだ。』

知りたいとは言ったが手を貸すなんて言ってないだろ？

そう笑ったAに、全員の背筋が凍った。