喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ34)

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第183話憧れの強いヒカリページ34

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貴『でも、その力を使いこなせないのはちょっと勿体無いと思うな。』

いい火力持ってるんだからさとAは声をかける。

そんなAに先輩にもよく言われるよと能登は少悲しそうにつぶやいた。

貴『…確かに火は恐いけど、使いこなせれば強い力になる。

己の才能を使わないのは勿体無い。

1ヶ月は一緒なんだ。

もしお前の炎が暴走しても全部私が消してやる。

だから少し訓練してみないか？』

能「え…い、いいの？」

遠慮がちに答える能登にAは勿論と笑顔で返した。

その能力が使えるようになればお前は確実に強くなると、能登を勇気付けるように彼の手を取る。

貴『お前にしかないその能力を使いこなせるようになれば自信もつく。

大丈夫。扱えるようになれば恐怖心は減るし、それまでの間は私が守ってやる。』

そう言って強く笑うAは、とても頼もしく、綺麗だった。

それはもう、見惚れるほど。

けれどそれに恋のような胸の高鳴はなく、光に惹かれ導かれてしまう虫のような、そんな酔灯。

病田が言うのも分かってしまうような、強い、憧れ。

信仰を、感じた。

貴『強くなろう、ジャガーノート！

そうすれば、お前の大切な人だって守れるからな。』

森「…！」

能「う、うん！僕、頑張りたい！」

気弱で、少し言葉に詰りながらではあるものの、能登はそう強く返事をした。

"大切な人"

その言葉で思い浮かべたのは自身が恋する環(あのこ)。

好きな人くらい守れるようにならなければ。

じゃ、今日の昼休みからなと笑うAに、能登は心から尊敬し、感謝した。

森「(大切な人を守れる…か……)」

森羅の頭に、家族の顔が思い浮かぶ。

死んでしまった母親と、象(大切な弟)。

もし、あの時自分に力があったなら。

そんな無意味な妄想をしてしまう。

森「(その真実を求めるために、俺はここまで来たんだ！)」

強くならなければ。

あの日の真実を求めるために。

"バ「まだまだ、遠いな」"

今のままでは、まだ、足りない。

貴『(そう、強くならなければ。)』

まだまだ、もっと、ずっとー…

コンコンッ

そう考えていると、扉をノックする音が聞こえた。

そろそろ朝礼の時間だ。

誰かが呼びに来たのだろうか。

そうアーサーが扉を開けようとした瞬間、

環「やい！！朝礼の時間だぞ！！

各員配属された隊に急いで向かえ！！」

そう、環が勢い良く扉を開けた。