喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ24)

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第173話だぁい好きっ！ページ24

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貴『そういうわけだから。いいね？』

病「嫌です！」

病田の返事に全員が凍りつく。

先程、Aの真顔に怯えていると思ったのは勘違いらしい。

寧ろ先程まで俯いてプルプルと震えていた顔をあげ、はっきりと拒否を示した。

貴『………あﾞ？』

ピキッとAのこめかみに青筋が浮かんだ。

と同時に彼女の口角が歪に釣り上がる。

自分の意志ではない、無意識の笑顔。

慌ててAは口元をおさえ、笑みを抑えようと深呼吸をしようとする。

が、

ベリッ

病「あぁ…！やっぱり可愛い！」

病田がその手を無理やり剥がし、歪に笑う彼女を見て興奮したように頬を染めた。

貴『は、』

病「あァ、ごめんなさいごめんなさい！知ってます勿論知ってます！ヒカリ様がヒカリ様って呼ばれるのが嫌いなのも触られるのが好きじゃないのもその修道服が似合わない事だって！」

剥した手をぎゅっと両手で握って病田はずいっと近づく。

逃げるため椅子を引こうとするが、隣には能登が座ってる椅子があり、どうにも逃げは無いようだった。

病「私嬉しかったんです！ヒカリ様ってば私が何してもスルーして、チョコに髪の毛入れた時だっていつもみたいに完璧に笑ってたのに！"ヒカリ様"って呼んだとき、初めて強く拒絶してくれたから！初めて、動揺してくれたから！！」

まるでブレーキの壊れた車みたいに、病田はトップスピードで止まらない。

ベラベラと喋る病田に、皆何もできずただ呆然と二人を見つめる。

"動揺してくれた"

その言葉にAの口角がまた上がる。

徐々に彼女の顔が歪に笑顔を作っていく。

そんなAを見て病田はまた可愛いと彼女を褒めた。

病「いっつもいっつも笑顔で、皆の人気者で、完璧なヒカリ様！誰にも頼らず、何でも一人でやらなきゃいけなくていっつもいっつも独りぼっちで！

ず〜っと思ってた！あぁ、あの完璧の仮面の壊れた"Aちゃん"はどれだけ可愛いんだろうって！」

貴『なにを』

病「だから沢山沢山Aちゃんの嫌がる事をしてヒカリ様を崩そうとしたのに！」

とってもとっても苦労したんだからね！と病田は座っているAを包み込む様に抱きしめた。

病「私ね！Aちゃんが大好きだよ！！笑顔が歪で、だぁれも信用できない、でも誰かに必要とされたくて必死に皆の理想の完璧なヒカリ様を演じてるAちゃんが、」

だぁいすきっ！！

…そう言って、病田はAを強く、強く抱きしめた。