喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ15)

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第164話ぴったりローブページ15

NOside

貴『あ、カリム中隊長！』

夕日が窓から差し込み、真っ赤に染まった廊下で特徴的な青髪を見つけたAは小走りでカリムへと近付く。

カ「ああ、Aか……

……あー、その、なんだ。似合ってて似合うと思うぞ。」

貴『大丈夫ですよ似合わないのは分かってるんで。』

それよりちょっとお願いがあってと言うAを、カリムは何故かじっと見つめてくる。

何かと尋ねるといや、ととんでもない返答が帰ってきた。

カ「お前はローブの方がぴったりで似合うんじゃねえかと思ってな。」

貴『………はい？』

⋮

と、いうわけで。

カ「やっぱこっちのが良くていい感じだな。」

貴『いや…まあそうですけど…』

Aはカリムの予備のローブに袖を通していた。

背丈のそれほど変わらないカリムの隊服はAに丁度よい大きさで、少々胸がきついこと以外は特段何も問題がなかった。

カ「…にしても、肩幅も俺とそう変わらなくて同じなんだな」

貴『むしろ私のが厚いので多分脱いだら服伸びてますよ』

そしたらお前に譲ってあげてやるなんて冗談を言うカリム。

Aは着る機会ありませんよと呆れた声を出していた。

貴『………』

カ「なんなら本当に第一の中隊長になるか？」

貴『冗談よしてくださいよ。』

ふと扉の方から視線を感じ、Aはチラリと見る。

けれど特に何も言うことなくすぐにカリムとの会話へと戻って行った。

貴『(…ま、別にいいか。)』

そんな事よりも、Aとしては本当に服が伸びてないか心配でならない。

貴『本当に怒らないでくださいね？』

カ「何回言って言いまくるんだ？そもそも胸の分があったってそんなに伸びて伸びるもんでもないだろ」

貴『そんなうっすい体で何を。』

Aにうすい体と言われ、カリムは少なからずショックを受ける。

そりゃあ烈火やフォイェンには負けるが…とゴニョゴニョ言い始めた。

貴『アンタ体重何キロです？』

カ「73だが…」

貴『私は78です。』

部屋の中に気まずい空気が流れる。

あまりの気まずさにフォ、フォイェンは86kgだから大丈夫だ！なんてフォローになっているか分からないフォローを口走る。

そんな様子にAは別に気にしてませんよと心底呆れた声を出した。

貴『私は胸で着膨れて厚く見えるんじゃなく実際厚いんです。』

そう言いながら着替えるんで出て行ってくださいとAはカリムの背中を押す。

貴『因みに、私はアンタと喧嘩したら100勝てる自信があるんで。』

気を付けてくださいね。

そう笑ってAは扉を閉めた。