喜劇で悲劇の人形劇第四幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ11)

今日:20 hit、昨日:25 hit、合計:16,204 hit

第160話これはただの調べ作業ページ11

NOside

桜「あ、火縄、パソコン貸してくれないか」

そう、桜備は事務仕事をこなす火縄に声をかける。

別に構いませんがと言って火縄がノートパソコンをとじ、壊さないでくださいねと軽口を叩きながら桜備に渡した。

火「Aの事ですか？」

桜「えﾞっ！？」

茉「えっそうなんですか！？」

ｱｲ「茉希さん一旦落ち着きましょう！」

なんで分かったんだと言う表情で桜備は固まる。

隣で恋愛センサーを感じた茉希が反応し、お茶を持ってきたアイリスが全力で止める。

一方火縄の方は当てずっぽうで言っただけだったが、まさか本当にA関連で調べるとは思っていなかったため、相変わらずの無表情で内心驚いていた。

桜「Aの7年前の事件…一応自分でも検索かけてみたいな〜…なんて…」

茉「本当にそれだけですか？」

ｱｲ「茉希さんっ！！」

火「別に構いませんが、俺が探して出なかったんですから大隊長が探しても無理だと思いますよ。」

まぁ一応、な？と言って桜備はパソコンを受け取る。

茉希は追求したげな表情をしていたが、無視して自分のデスクへと戻る。

実際そういう理由じゃないしなと考えながら検索サイトを起動した。

やはりあの事件を直で見た桜備としては、本当に検索しても事件が出てこなかったのか、確認しなければ気がすまないのだ。

虫眼鏡のアイコンをタッチすれば、先程火縄が検索したであろう検索履歴が残っている。

桜「(7年前同時発火民家……)」

履歴に残っていた言葉をそのままクリックして検索結果を見る。

それは当然、火縄が一度見た検索結果のはずだ。

いくつか言葉を変えて検索してあった履歴を全部確認するが、やはりAが言っていたような、桜備が見たような事件の話は無い。

桜「(そういえばあの時ってクリスマスだったよな…)」

今度は"クリスマス人体発火"と入れて見るも、やはりあの事件は出て来ない。

他にも色々試したが、結果は同じだった。

桜「(だめか〜…)」

やっぱりただの人体発火じゃそうそうネットには残らないかと考えながら、撃沈する。

最後に、と思いながらもう一度画面へと向かう。

桜「("A緋雁"っと…)」

打ち込んでから、なんだかいけないことをしている気分になってくる。

どうせ何も出ない。

そう思いつつも自分の部下の名前を検索にかけるのはなんだかストーカーみたいで気が引けた。

桜「(いやいやどうせ何にも出ないし大丈夫だろ！)」

そんな盛大なフラグを立てながら、桜備はエンターキーを押した。