喜劇で悲劇の人形劇第二幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ37)

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第86話交渉上手？まぁ決裂ページ37

NOside

しかし、彼女は火華の思い通りにはならなかった。

ならば今すぐにでもと言う火華の言葉を遮って、Aはただしと指を1本立てた。

貴『それは上の許可を取れたらの話ですけどね？』

すっかり通夜モードに入っていた森羅達がはっとAの顔を見る。

その余裕な笑みには、第五に入る気は微塵も感じられなかった。

貴『まさか知らないだなんて言わせませんよ？

私の入る隊について、上で相当揉めたこと。

何度も揉めた上で私はようやく第八に決まった。

一体どうやってそれを覆す気なんです？

…まさか、私が入りたがってるだなんて理由で引き入れようだなんて、考えてませんよね？』

ニッコリ、Aが尋ねる。

ウッと言葉に詰まる火華にAは畳み掛けた。

貴『私はね、隊なんて正直どこでもいいんですよ。

どこに行ったって私は上手くやってみせます。

勘違いしないでくださいね？

今この状況は私がアンタの隊に入りたがってんじゃない、アンタが私を欲しがっているんです。

社会人でしょう？大隊長でしょう？

…なら、筋くらい通してくださいね。』

上から正式な移動命令が来たなら、私は快くアンタの隊に行ってあげますよ。

そう、Aは先程の火華と同じような笑顔で答えた。

ま、無理でしょうけどとの煽りも添えて。

貴『さ、戻りましょ。第八に』

そう踵を返すAの背後では、火華が悔しそうに顔を歪めていた。

プ「桜備よ！一消防士があまりしゃしゃり出て深みにはまると…

火ではなく、お前自身が消されるぞ。」

負け惜しみだろうか、それともただの忠告か。

低い声で火華が言う。

なるほどと桜備は動揺するでもなく冷静に答えた。

桜「俺を煙たがっている連中がいるわけか…」

だが

桜「第八の炎はそう簡単に消せんぞ。」

そう、桜備達は火華を睨んだ。

たとえオンボロでも、人数が少なくても

第八は、決して弱くない。

それ以上、火華も何も言わない。

…ただ何故か、アイリスの方をチラリと見て、まるで目をそらす様に踵を返した。

そのまま、第五は火華の指示で帰っていく。

ようやく、嵐が去った。

自分たちも帰るぞとマッチボックスに乗り込む桜備達。

やはり第五はきな臭いと森羅は最後まで走る第五ののマッチボックス達を睨んでいた。

森「…それにしても……お前ほんっとああいう怖い事言うのやめろよ！！」

貴『最初から行く気はないんだからいいだろ別に』