喜劇で悲劇の人形劇第二幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ21)

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第70話ぶつかる意見ページ21

NOside

森「その調査、俺にも協力させてください！！」

そう隣りで言う森羅に、Aは静かに口を引き攣らせた。

そして、確信する。

この隊はつくづく自分とは合わないと。

お前を第八に呼んでよかったと、そう桜備は森羅に言う。

桜「突貫で作った隊だから隊員がまだ七人しかいねえけどな！」

少ねェーと笑う桜備に対し、Aは全く笑えない。

ここが森羅やアーサーにとって居心地のいい隊だと分かっている。

分かっているからこそ、平和でいてほしいのに

どうして自ら危険へと足を踏み入れたりするのか。

コンコンッ

火「お話中のところ…」

貴『私は反対です。』

火縄が入ってきたのにも気付かず、Aはそう、はっきりと言った。

彼女の、森羅たちの、安寧のために。

森「…は？お前、何言って…」

貴『私には、そんな危険を犯してまで、得るべき情報があるとは思えない。』

信じられないと、そう言わんばかりに見つめる森羅の瞳には、ただ、ニッコリと笑い話すAが映る。

ショックだった。

Aならば、絶対に共に戦ってくれると、そう思い込んでいたから。

森「何でそんなことっ」

桜「森羅、落ち着きなさい」

声を荒らげる森羅を止めて、桜備がなぜそう思うのかを尋ねる。

そんな桜備に、表情一つ変えず、考えても見てくださいよと彼女は言った。

貴『大災害から何年が立ちました？焔ビトが現れて、特殊消防隊が出来て。一体どれだけの研究が行われてきたでしょう。』

それなのに、焔ビトの、人体自然発火現象の秘密は何一つとして打ち明けられてくることは無かった。

貴『それは、何故だと思います？』

考えられる可能性は3つですと、Aは3本の指を立てた。

1つ、何一つ情報が見つけられていない

2つ、情報はある程度出ているが、確証がない

そして3つ目は

貴『その情報を明かすことによって皇国の安寧が崩れる可能性がある』

桜「…どういう意味だ」

深刻な顔で尋ねる桜備に一つずつ話しますよとAは笑った。

貴『まず1つ目、何一つ情報が見つけられていない。

私もこの可能性は低いと思ってますが、あくまでも一つの可能性として。

これは本当に何も分かっていない場合の話です。

この場合、我々が何をしても本当に無駄です。』

ない情報を探しても無駄でしょう？

そう笑う彼女の瞳には、やはり希望は無かった。