喜劇で悲劇の人形劇第二幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ18)

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第67話明暗ブラックナイトページ18

NOside

桜「……おはようございますって…まだ朝日も上ってないぞ？」

Aがいた事に驚いたのか、数秒の間の後、そう呆れたように答える桜備。

何してるんだと尋ねる桜備にAは昨日と似たような答えを返す。

貴『大隊長こそ、何しに屋上へ？』

桜「俺は書類整理が一段落付いたから少し外の空気を吸いに来たんだよ」

あと、今日も星出てるかと思ってと空を指差す。だが今日は生憎の曇り空だ。

桜「昨日もだったが、もしかしてよく眠れてないのか？」

貴『いえ？元々睡眠時間が短い方なんですよ。

実をいえば普段からこんなもんです。』

短すぎないかと驚く桜備にAは体質なんですよと答える。

そんなAを信じたのか、ちょっと羨ましいなぁと言いながら桜備が隣へと腰掛けた。

態々Aの左側へと回って。

貴『…危ないですよ』

桜「お前が言うか？」

そうですねと笑いながらAは桜備と入れ替わる様に立ち上がった。

桜「寝るのか？」

貴『……もう目が覚めちゃったんで朝までは暇ですね』

だから夜勤もっと増やしてくれていいんですよと笑うAに桜備はいやぁと渋る。

流石に入ってすぐの新人に夜勤を任せ続けるというのは気が引ける。

桜「暇ならもう少し話していかないか？」

貴『………私アンタの事好きじゃないんですけどねぇ』

桜「手厳しいな…」

中々きつい言葉に若干傷付きながら空を見上げる。

やはり空の星は見つけられず、ただ灰色の雲が映るだけだった。

桜「今日の空は、暗いな。」

貴『いつもこんなもんでしょう』

桜「そうかぁ？昨日は明るかったろ」

貴『記憶が美化されてるだけでは？言う程変わりませんよ。』

返しが冷たい。あまり機嫌は良くないようだ。

それでも桜備は根気強く話続ける。

桜「いやでも月が出てる時と出てない時じゃ流石に明るさは変わるだろ？」

貴『出てようと出てなかろうと夜は暗いですよ』

桜「いやまぁそうだけどさぁ……

同じように見えて毎日毎日違う景色なんだなぁとか考えると楽しくないか？」

そう問い掛ければAはようやくこちらを向いて目を合わせた。

表情は、よく見えない。何を考えているかも分からない。

なんだかAが少し怖く見えた。

貴『…生きてて楽しそうだな、アンタ。』

桜「せっかく一度きりの人生なんだ。楽しまなきゃ損だろ？」

貴『本当にアンタみたいな能天気が大隊長だなんて世も末だ』

桜「酷くないか！！？」