喜劇で悲劇の人形劇第二幕【炎炎ノ消防隊】 (ページ14)

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第63話ﾌｧﾝｸﾗﾌﾞの目にご注意を！ページ14

NOside

咄嗟に腕を上げて防いだ桜備。

物凄い衝撃が腕にかかる。これをモロに食らったらとゾッとして動悸が止まらない。

貴『だいたい！！私は触られるの嫌だって言いましたよね！！！』

桜「すまん分かってはいたんだが可愛くてつい…」

貴『その腕へし折るぞ！！！』

桜「本当にされそうで怖い！！」

真っ赤になって怒鳴るA。これ以上話すと更にボロが出ると思ったのか頭を冷やしてきますと言って桜備達に背を向け歩いて行った。

森「だから言ったじゃないですか…」

桜「いや投げられるどころの話じゃなかったんだが」

未だしびれる腕に呆然としながら真っ青な顔で桜備は呟く。

照れ隠しにはあまりにも怖すぎる。

森「そもそもなんで可愛いなんて…

アレは確かに顔が異常なほどに整ってますけど」

桜「アレってお前な…」

Aをアレ呼ばわりする森羅に桜備は呆れつつ、Aの後ろ姿を見つめる。

確かに顔が整っていて、身体もグラマラスな体型、そして何より大人びた彼女の態度から、Aは綺麗系のように思える。のだが

桜「素顔は意外と可愛い系な顔してるんだなと思ってな…」

森「えっ」

そうボソッと呟いた桜備の口をバッと塞ぐ森羅。

驚く桜備を無視して慌てた様子で森羅は誰にも聞かれていないかキョロキョロと周りを確認して、コソコソと桜備に耳打ちした。

森「大隊長、悪いこと言わないんでそれ誰にも言わないほうがいいですよ」

桜「え、な、何なんだ急に？」

困惑する桜備にとにかく絶対だめですからねと森羅は念を押す。

どうやらそれを言うと厄介なことになるらしい。

森「実はAの素顔を見たことある人は誰もいないんですよ…！」

常に顔の右半分を前髪で隠しているA。

彼女に見せてくれと頼んだ者は何人かいたらしいがいつもうまく躱され、なんなら彼女の髪に触れられた者すらほとんどいないらしい。

それなのにぽっと出の桜備があっさりAの素顔を見たとなれば、ただでさえ先程のAに押し倒されるというラッキースケベに見舞われ、更にはAの頭を撫でるという恨みをかっている桜備がファンクラブにどう思われるかなど想像するのは容易い。

聞けばAのファンクラブには過激派もかなり多いらしい。本当に気をつけてくださいねと言う森羅に桜備はゾッとした。

桜「あいつ本当にヤバイ奴らに好かれてるんだな…」

森「モテすぎるのも問題ですよね…」