第7話 嫌な予感の初仕事 ページ8
NOside
貴『………』
マッチボックスに乗ってから、Aは何かを考えるように、黙っている。
初出動で緊張しているのだろうか。
そう考えるも、その表情はどこか影があり、なんとなく話しかけるのを躊躇われる。
美人の寡黙な表情というものは、その場にいるだけで迫力が出るもの………なのだが
森「なんだよお前さっきから黙って。緊張でもしてんのか?」
ア「らしくもないな。」
もうすっかりAの顔面に慣れてしまっている森羅とアーサーにはそんな事は関係ない。
貴『失礼だな。私だって緊張ぐらいするさ。』
森「嘘乙」
貴『お前は私をなんだと??』
森「
貴『完璧人間と書いてバケモンと読むな』
そもそもその完璧人間ってのもヤメロよなとAは少し恥ずかしそうに言う。
貴『私だって別に完璧なんかじゃねえんだから』
森「眉目秀麗文武両道才色兼備の委員長様がよく言うよ。」
貴『欠点隠してるだけだっての…』
森羅のおかげで少しだけ和んだ空気のまま車は進む。
焦げ臭い匂いが鼻を突いた。
そろそろつくぞという火縄の言葉で一気にその場が引き締まる。
消防車のサイレンと野次馬の声、そして被害者の家族の悲鳴で、現場は酷く騒然としていた。
貴『…………』
マッチボックスを出る時、現場を見たAはほんの少しの間、何かを考えるように立ち止まった。
桜「…?どうした、何かあったか」
貴『あぁいえ、すみません。ただ…
……………嫌な予感は当たるものだなと。』
そうニコッと笑った彼女の笑顔は、先ほどとは違い、どこか冷たく、背筋の凍るような笑みだった。
桜「それは…」
?「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
どういう意味だ?
そんな質問は誰かの絶叫によって掻き消える。
驚いてそちらを見れば消防士数名に押さえつけられている女性が涙を流して叫んでいる。
奥「ゆうちゃん!!ゆうちゃん!!!!!」
消「落ち着いてください奥さん!」
どうやら、被害者の母親のようだ。
悲痛な叫びの聞こえる中、Aは静かにヘルメットを被った。
綺麗だったであろう一戸建ての家は炎に包まれ、室内はまるで夕焼けのように朱く染まっている。
火傷しそうな程の熱風とあまりに冷たく思い空気の中、桜備達は足を踏み出した。
桜「突入するぞ!!」
全「「「『「「はい!!」」」』」」
皆が真剣な表情の中
貴『(…あーあ、やだやだ…)』
Aだけが薄く、冷たい笑みを浮かべていた。
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ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです!夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ! (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:3度の飯より推しが好き | 作成日時:2021年9月18日 20時