第1話 ハロー第八 ページ2
貴方side
貴『…ここか…』
目の前に見据える建物を見上げ、私はそう呟く。
私の名前はA 緋雁。訓練校出身の特殊消防官だ。
…とは言っても今日が初出勤でまだ仕事はしていない。私の目の前にあるのは当然のごとく今日から働く職場だ。
貴『(…にしても、なんでまた私がこんな隊に配属されたかね…)』
目の前の8とデカデカと書かれた特殊消防署を見て私は軽くため息をつく。
自分で言うのもなんだが、私は優秀な人間だ。
訓練校を中途入学したにも関わらず主席で卒業した事、そして今回の配属決めに随分と時間を要したこと。
それらを考えれば私がどれだけ多くの隊から求められていたか簡単に想像がつく。
貴『(そうして最終的に決まったのがまさか一番新規の、しかも一番規模の小さい第八とはねえ。)』
まさかの展開である。
しかし特段不満があるわけでもない。気持ちを切り替えて、挨拶をすべく私は特殊消防署の入り口へと向かった。
貴『(…ボロいな)』
明らかに手の行き届いていない壁や窓に私はスッと目を細めた。
これは時間のあるときに掃除をしなければ。
そう考えながら歩いていけば玄関に一人の男が。
火「時間10分前だな。」
そう呟く男はメガネをかけた目つきの悪い真面目そうな青年。
外見を見る限りそこそこイケメンではあると思うのだが…
貴『…………』
やはり人間というものは何かしら欠点があるらしい。
彼の頭に被られたダイナミックと書かれたあまりにもダサい帽子に私は思わず口を噤んだ。
貴『…初めまして！今日から勤務することになりました、A 緋雁です。どうぞよろしくお願いします！』
火「俺は武久 火縄。第八の副隊長だ。
これからみっちりしごいてやるから覚悟しておけよ。」
そう鋭い目で言う火縄中隊長。
この人を見ただけでもう察しがつく。この隊は変人の集まりだ。
予想されるこれから先のシゴキよりももっと面倒な日々に私は若干頭を悩ませつつも笑顔ではい！と元気よく返事をした。
カツカツと廊下に足音が響く。
やはりこの消防署、ボロい。
あちこち蜘蛛の巣が見えているし環に壁に小さなヒビが入っているのも見える。
貴『(これは…)』
火「ボロくて悪かったな。」
突然言われた言葉に私は少し驚いて彼を見つめる。
まだ何も言っていないのにそんな事を言い出すという事は…
貴『(自覚があるんだな…)』
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ふたば(プロフ) - この作品とても面白くて大好きです！夢主ちゃんのスパダリっぷりに思わずキュンキュンしてしまいます笑これからも執筆頑張って下さい✨ (2021年10月25日 0時) (
レス) @page50 id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年9月30日 18時) (レス) @page2 id: cc011a7ffe (このIDを非表示/違反報告)
陸(プロフ) - 色々ありますよね、大丈夫ですよ！ (2021年9月20日 0時) (レス) id: 19eff5b33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：3度の飯より推しが好き | 作成日時：2021年9月18日 20時
