魅惑の花

. ページ38

.









洸人「これ.......」









『ヒロ君が結んでよ』









どうやら、俺に結んでもらうために









スタイリストさんにも

事情を伝えてここに来たらしい









洸人「絶対スタイリストさんに
やってもらった方がいいって」









何度そう言っても

1歩も引く様子はなかった









『ほら！早く！』









急かされて、結局結ぶことにした









『前も結んでもらったよね
俺まだ覚えてるよ』









俺だって忘れるわけない









でも、正直

あの時は下手くそすぎた









洸人「前も上手く結べなかったのに
今日も絶対綺麗に結べねぇけどいいの？」









『全然大丈夫』









呑気に鼻歌を歌いながら

目を瞑っている









洸人「俺がこうして結んでやれるのも
最後になるかもしれねぇな」









『寂しいこと言わないでよ笑』









今にも泣きそうな顔をしている









少し申し訳なくなって









洸人「じょ、冗談に決まってんだろ」









慌ててごまかした









『本当にそうかもね.....
なんか最後になっちゃう気がする笑』









笑いながら言っているけど

すごく悲しそうな表情だった









洸人「こいよ」









大きく腕を広げる









『うんっ！』









ハナを思い切って

ギューッと抱きしめる









洸人「デビューしてもしなくても
お前のことずっと応援してるから」









『俺もだよ』









伝えたいことは

沢山ある、けど









ハナが笑った顔さえ見れればそれでいい









『すっごく綺麗にできてる.....』









何故かは分からないけど

今日のポニーテールはとても綺麗だった









『行こうよ、いっしょに』









洸人「おう」









2人で最後のステージに向かう









揺れるポニーテールと

白いリボン









隣で楽しそうな表情を

浮かべるハナの手をしっかりと握り









2人でゆっくりと

ステージへと足を進めた









.

緊張の瞬間→←白いリボンとポニーテール

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す