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「⋯⋯ねー聞いてた？」
「ん？あ、ごめんぼーっとしてたかも」
眠い？なんて顔をのぞきこんできた光輝くん
「ううん、眠くないよ」
「ほんと？何考えたの？」
「何でしょうか」
「うーん、光輝くんかっこいいなあとか？」
「⋯ぴんぽん」
「嘘つけ」
また湧のこと考えてたんじゃないの？って
そんな顔で言うなら言わなければいいのに⋯⋯
「⋯考えてないし」
「そっか、なんか今日かわいいAちゃん」
「⋯⋯まさか口説いてる？」
「通常運転ですけど？」
ケラケラ笑いながらハンドルを回す姿
わたしが好きって言ったからもう校則に縛られてないのにまだ染めてない黒髪に、高校卒業してからわたしがピアッサーで開けた耳に光るピアス、出会った時よりはるかに大人になった彼は誰が見てもかっこいい
こんな姿、今日舞台見に来てたファンの方とかは見れないんだな、なんてしょうもない優越感
「そういえば、うちむと深田はガチで初めましてだよね？」
「さすがにこれで会ったことあるよなんて言ったらビビるでしょ」
「たしかに、湧死ぬんじゃない？」
「縁起でもないこと言わないの(笑)」
俺とAちゃんがこうやって会ってるなんて湧が知る日はくるのかなーなんて呟く光輝くんに言葉を返せなかった
「⋯そういえばね、この前さ休演日にわたとわくと檜山と深田でドライブいったんだ」
「たのしそうだね、なんか珍しいメンツ」
「そう？おれ運転したらみんな事故らないか心配だって騒いでた」
「たしかに最初私も怖かったかも(笑)」
「とか言っていつも帰り爆睡してる人だれ？」
「⋯⋯わからない」
「ばーか」って言って肩を軽く叩かれる
そんなやり取りしながら結構車を走らせてるけど一向に目的地？に着く気配ない
「⋯⋯てかどこ向かってるの？いまどこ？」
「秘密だって言ってるじゃん、あともう少しで着くよ」
車の外をみると街頭や家の明かりでキラキラ光る街並み
.
車内は光輝くんがすきなアーティストの曲
私も好きな曲
なんだか歌詞が心の中に入って無性に泣きたくなった
これ以上、心に君が溢れて
誰かを傷付けてしまわないように
君の恋の終わりを願う本当の私に ⋯⋯
もう着くよ、って光輝くんの声に我に返ってふと隣をみるといつもの優しい顔で微笑むから
心の奥が締め付けられた。
.
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作者名：ぴ | 作成日時：2022年9月14日 7時
