05 ページ5
「⋯⋯だめこんなとこで」
「人通り少ないし車内だから大丈夫っしょ」
そう言いながら再び私の唇に自分の唇を押し当ててきて
「ん、ねえ、光輝くん、ほんとにだめ」
私が息を整えて彼の肩を押すと
「やっばい、止まんなくなるとこだった」
ちょっと耳が赤い。
ふふ、と笑いが溢れて光輝くんが「こっち見ないで」って拗ねた顔を向けてきた。
よし行くよ、とゆっくり走り出した車内にはオシャレな音楽が流れてる
3月に免許をとった彼はたまに夜ドライブしよ、なんて誘ってくる。
行先はいつも決めてないけど今日は行きたいところがあるらしい。
「⋯⋯どこいくの？」
「着いてからのお楽しみってことで」
「えー気になる」
「てか今日の俺どこが良かった？歌は？どうだった？」
「最初の5人で歌ってるやつ、あれ生歌だったでしょ」
上手だったし感動したと伝えると分かりやすく照れるからほんとに⋯⋯
高校もとっくに卒業してるのに染まってない綺麗な黒髪
「髪伸びたね？わたしは好きだよその髪の長さ」
「ほんと？じゃあ一生切らない」
「ふふ、髪染めないの？」
「だって、黒髪すきなんでしょ？」
赤信号で車が止まった時、
照れ隠しのように私の髪を優しい顔で撫でてくる
車内が甘い空気になって、わたしも光輝くんの片手を握った
こういうのが良くないのも知ってるしダメなの心の中ではわかってるけど止めれない。
全部全部私が悪いのもわかってる。
「⋯⋯そろそろ湧と付き合うの？」
「なに、急だね(笑)」
「初めてあった時さ、誰のものにもならないって言ってたよね」
初めてあった時、あれ2年前か。
あの日、あの時、
.
「⋯⋯俺のものになって欲しい、て言ったらどうする」
私の手を握り返してそういった光輝くん
「⋯⋯ノーコメントで」と空気を壊すかのように笑うと光輝くんも我に返ったのかふわっと笑った
そうだった、なんて何もかもわかってるかのように。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 416人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴ | 作成日時：2022年9月14日 7時
