ヒロインになりたい。 (ページ4)

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入社式、人生はじめて一目惚れをした。

研修でグループワークをやったとき、彼女に出会った。

5人のグループ、1人発表者決めてください、と研修講師に言われた瞬間みんな目を逸らす。

俺も出来れば目立ちたくない、でも誰かしらここは出ないと話が進まない。どうしよう、発表なんでできるかな、でも仕方ない。

誰かやれよ、という空気に耐えられなくて。

手をあげようとすると、向かい側に座ってた大人しそうな女の子が｢…わたしやります｣そう言った。その子はグループワーク中もあまり発言してなかった子、びっくりした。休憩が開けたら発表するから発表者は準備しといてください、と講師から言われみんなは休憩に入った。

その子は黙々と資料をまとめてるけど1人じゃとてもできる量じゃない。その子の隣の子も知らんぷり、こういう時に周りに頼ればいいのにな。と思う。

トイレから帰ってきてもその子は1人でやってる、声をかけると｢…大丈夫です｣とやんわり断られた。でもとても一人でできる量とは思えなくて｢俺も手伝う｣そう言いきって無理やり彼女の資料を半分奪ってまとめる。

なんとか発表には間に合って、チームの評価も高かった。
彼女にみんな心のないお礼を言ってグループを解散する。

その日の研修が終わって帰ろうとすると後ろから肩を叩かれる。

｢あの、｣と振り向けばさっきの子、やべ、名前きいてないや。
｢…内村くん、ありがとうございました｣そう言って頭を下げる彼女

｢え？俺の名前…｣
｢あ、さっき社員証みたから｣
｢あはは、そっか｣
｢ほんとにありがと、自分から人に頼ること苦手で｣
と苦笑いして内村くんがいなかったらわたし終わってたかも。そう言った彼女。

ああ、守りたいなって、柄にもなく、この子に頼られたいってそう思った。

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そんな日から2年経ってやっと。
彼女に思いを伝えたら、｢もしかしたら私もすきなのかも｣って曖昧なかわいい返事が帰ってきた。

いつも周りを助けてる分、俺がAちゃんを傍で助けてあげる。

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