ヒロインになりたい。 (ページ18)

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「ちょっと甘いね」

「バニラだもん」

「そっか(笑)ありがと」

そう言って何故かわたしの隣に座る

「ん？帰らないのって？」

「…いや何も言ってませんけど」

「せっかくだし、話そうよ」

「なんのせっかくか分からない」

「おねーさんめんどいって言われない？(笑)」
と眉毛を上げてニコッと笑う彼

「…わたし食べ終わったら帰るよ」

「そしたら俺も帰る」

「ねえ、よくめんどいって周りに言われない？(笑)」

「うわ、真似すんなし」

話のテンポが良くて、自然とわたしも笑ってしまう

ていうか、至近距離でよく見たら本当にイケメンだ

どこかのアイドルとかみたい、俳優？そんなレベル

「…そんな見られたら恥ずいんだけど」
もしかして俺の事、やっぱり知ってる？と首を傾げる

「いや知らないけど」

どこの人かも歳も名前も何もかも知らないけど。

てかあなたも私のこと知らないなら私が知るわけないのに。

「んー？やっぱり？笑そっか…まあいいや！」なんて言って欠伸をしてる

「てか何してたの？こんな時間に。若いよね？高校生とか？」

「今年の春で高校卒業したから今大学1年！まだDKぽい？」

若い………てことは18さい？私何年前の話だろ………

「若すぎて高校生も大学生も変わらないよ」と笑うとおねーさんはいくつ？って聞いてくる

「女性に年齢は聞いちゃダメだよ」

「そんな俺と変わらないくせに」

「変わるよ今年22だもん」

「3つしか変わらないじゃん！ほぼタメだよ」

「はいはい、励ましありがと」

「ねーホントの事言ってんの！」

と肩を軽く叩かれる

ふわっと香る大人っぽい香水の香りは少しだけ背伸びしてる感じがして可愛いなって。

「アイス食べたくてコンビニ来たの」

「同じだ」

「そしたらおねーさんいて、声掛けちゃった」

「チャラい…」

「そんなんじゃないよ、そんな事いつもはしない」

絶対しないしできる立場じゃない、と何故か頑なに否定する彼

よくわからないけどはいはい、と流して溶けかけの残りのアイスを口に入れる

「…じゃあ帰るね、ばいばい」

「もう帰んの？」

「食べ終わったもん、気をつけて帰りな」

と言ってコンビニを後にする

「それ俺のセリフ！」と後ろから声が聞こえて軽く手を振ると満足そうに笑って手を振り返してきた。

犬みたいな男の子と出会った春と夏の間の夜