ヒロインになりたい。 (ページ7)

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大学生活が少し落ち着いた時、近くのカフェでバイトをすることにした。

お洒落なカフェで、やさしそうなおじいちゃん店長の面接から始まってすぐ採用されて初出勤の日。

すこし緊張してたらみんな優しいバイトさんだからすぐ馴染めると思うよ、と店長はエプロンを渡しながらそう言ってくれた。

貰ったエプロンをして髪を軽く結んでバックヤードから出る。

｢んー、今日は最初だから簡単にホールの仕事しようか。｣

ちょっと元木くん呼んでくるから待っててね、とキッチンに入っていく店長。

元木くん…って男性？なんか緊張するな、とソワソワしてたら後ろから｢あれ？｣と聞いたことある声がした。

｢…A？｣

そういってまた眩しいくらいの笑顔で私の名前を呼んだ。

それは湧くんだった、紺色のエプロンをして腕を捲ってる。

｢え？ふたり知り合いなの？じゃあ話は早いね。元木くんがAさんに仕事内容教えてあげて｣あとはよろしくね、と2階へ上がって行った店長。

｢えっと、じゃあ、よろしく？｣

｢…うん、よろしくおねがいします｣

なんか……意外だった。居酒屋とかそういうバイトしてそうな勝手なイメージだったから、コーヒーの匂いを纏うこの空間で働いてるなんて。

｢意外だって思った？｣

｢え？｣

｢顔に出てますけど｣とケラケラ笑う湧くん

｢えっと、なんかごめん、居酒屋とかのイメージだった…かも？｣

｢まだ俺のこと知らない証拠だな｣

肩にポンっと手を置かれてこれからよろしくな？と微笑んだ。

そうやってバイトでもサークルでも、時には講義が被ったら一緒に受けたり。仲良い〝ともだち〟ポジションを手に入れた。