愛、屋烏に及ぶ3【SERVAMP】

番外編　星降る夜は君が生まれた日　その12 ページ31

ベル「テメェ…今すぐ串刺しにしてやろうかこのクソがキィィ！！」

怒り狂ったベルキアは、彼のシルクハットから剣を3本抜き出す。
それを目撃した通りすがりの一般人はギョッとする。
しかし、恨みを受ける当人と椿は至って冷静だった。


椿「まあまあベル。子どものカワイイ悪戯でしょ？
大目に見てあげなって」


「そうよ、大人気ないわねベルベル！
…年寄り扱いするなら次は股間を狙うわよ」


ベル「最後のところもっかい言ってみろよォ…
つばきゅんにも聞こえるように！！
カマトトぶんじゃねーぞゴラァ！！」


「きゃー怖い。せいら何も悪くないのに！」


第三者から見れば、おかしな格好をした成人男性が幼気な少女を加虐する絵面にしか見えない。
しかし、両者の睨み合いは火花を散らし、他者を寄せ付けない迫力があった。

ただ、1人を除いて。


「ちょっとあんたら、ここ店内なんだから少しは自重してくださいよ」


「あ！桜哉〜！！」


奥から現れたのは両手にたくさんの買い物袋と積み重ねられたプレゼント用の箱を抱える緑髪の少年だった。

少女は自分宛のプレゼントの数に圧倒し、これから自身の手で開かれるであろう箱の中身に期待が膨らむ。


桜哉「雑用係とはいえ、これは重すぎ…
椿さん、イカレ手品師、手伝ってくださいよ」


ベル「イカレ手品師ィ？！
何でボクがいじられキャラみたいになってんだ！！
こういうのはテメェの役割だろうがぁ！！」


椿「え〜ボク星空で手が空いてないからベルよろしく。
ほら、星空おいで。抱っこしてあげよう」


椿は少し屈んで両手を広げる。
少女は迷わずその胸に飛び込み、ぎゅっと抱き返した。
そのまま持ち上げられると一気に目線が高くなる。


椿「…今日はどうしたの？
何だかいつもよりご機嫌じゃないか。
そんなに、探し物が見つかったのが嬉しいのかい？」


「ふふ、せいらね。
新しいお友達出来ちゃった、見てみてプレゼントもらった〜！」


そして、自慢気に絵本とキーホルダーを見せる。
少女が嬉しそうに話すと、少年は信じられないといった目で少女を見た。


桜哉「おいおい、お前今まで知らない人に付いていったのか？
いくら吸血鬼とはいえ、無用心だろ…」


「この絵本の織姫様みたいにかわいかったんだもん。
せいら、一目惚れしちゃった♡」


ベル「織姫ぇ？ ずっと女の尻追いかけてたってこと？
サクヤじゃあるまいし」


桜哉「オレが、いつ、女の尻を追いかけたんだ！！」

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