43話僕と踊ろう ページ45
遡ること6年前。
とある会場で舞踏会が行われた。
財閥や大手会社など各高所得者達が招待されている。
これは金持ちの社会で交流を深め、さらなる交易の拡大を目的として開かれたパーティーだ。
会場にはクラシック音楽が流れ、豪華絢爛な食事がテーブルに並べられている。
そして、皆華やかな格好をした人々。
まさに、上級位者の社交場だった。
「見てくださる？このネックレス高かったんだけども旦那がくれたのよ」
「私なんか誕生日に…」
御園(…ああ。つまらないなぁ。)
その集まりの中にまだ幼い有栖院御園もいた。
大人の自慢話や競争の場に、お子様が入る隙はない。
あまりの退屈さにオレンジジュースをブクブクしながら頬杖をたてる。
御園「リリィ〜僕暇だよ。
なんで父さんもこんなとこに…」
リリィ「これも大事なことですよ。
御園は外の空気を吸って落ち着いてきては？」
それを聞いて御園は一目散に外へと駆ける。
リリィ「さてと」
その後ろ姿を見送った後、リリィは近くに積まれたマカロンへと近づいた。
・・・
やはり、外は涼しい。
ようやく密閉された空間から解き放たれた。
あまり遠くに行かないよう界隈の庭へと寄り道すると、先客がいた。
御園「あ…」
外国人の女の子だ。
僕と同じ、9歳くらいの子。
御園「あの！…」
勇気を振り絞って声をかけてみた。
たが、女の子は聞こえなかったのか、あるいは無視されたのか無反応だ。
恐る恐る近づき女の子の顔を覗く。
夜空を映す碧い瞳が澄んでいて、風に靡いた短い黄金の髪もとても綺麗だった。
「何？」
でも、その目には光が宿っていなかった。
御園「あ、日本語…き、君も暇だからここに来たの？」
「だったら何。」
吐き出す言葉一つ一つが矢のように鋭い。
なんだが怖い人だ。
「私に構うな」
とうとう見放されてしまった。
何て声をかければいいんだろ。
僕、女の子との接し方が解らない…。
周りをキョロキョロ見渡すと薔薇の花があった。
棘で手の甲に傷がつく。
花に謝りつつ引きちぎり再び女の子に話しかけた。
御園「これ！友好の証に…。僕、有栖院御園。
良かったら僕と踊りませんか？ここで…」
きっと僕の顔は林檎みたいに真っ赤だ。
自分でも粋な事をしているなと思う。
緊張のあまり息が上がった。
「私は花に興味はないよ。貴方にも。」
あっさりと断られ僕の虚しさだけが残った。
「有栖院御園…
うっかり忘れそうだけど憶えておく。
二度と会わないだろうけどね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナタデココ(プロフ) - 夢主の本性がどのようにバレるのか､果たしてバレないのか、今から楽しみです！！ (2016年9月13日 21時) (
レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - 黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liarさん» コメントありがとうございます！更新停止の予定は無いのでご安心下さい^_^ただ、学生であるため土日の方が多く更新することがあります。とても励みになりました！これからも頑張りますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年9月10日 9時) (レス) id: a1258340ec (このIDを非表示/違反報告)
黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liar - とっても面白かったです！更新頑張ってください!!応援しています!続き待ってます！更新停止だけはやめてください…！ (2016年9月9日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レモンティー | 作成日時：2016年7月25日 13時
