3話クッキー ページ5
それから一年間は彼の観察ばかりしていた。
対人関係や部活、趣味、性格。
その人柄良さもあって人望も厚い。
家庭的で料理も裁縫も大体はこなせてしまう。
とても優しい彼。
A「なんか、いいなぁ…」
いつしか私の中で彼は憧れの存在となり、以前までの私の形が崩れていく音がした。
彼の影響で料理と裁縫も少しずつ学び始めて、彼に言われた通り笑顔の練習もした。
まだ完璧とは言い難いけど、他人と最低限の会話はできるようになり友達もできた。
これは私にとって大きな成長だった。
毎日毎日、気がつけば城田君だけに目が追う。
知れば知るほどどんどん気持ちは膨れ上がり…
それが恋だと自覚するまでそう時間はかからなかった。
一年が過ぎると城田君と同じクラスになることはなかったものの、恋の力というのは恐ろしいもので…ここだけの話だが、受験する高校の情報を友達からもらったりもした。
まだ、彼を見たくて知りたくて。
だから、もう少しだけ…
・・・
「えー文化祭でやる喫茶店の係り決めもあと衣装係を残すのみなんですが…」
A(衣装係か…やってみようかな…)
翡翠 A 15歳。
無事受験に合格し、晴れて華の女子高校生。
同じ高校だと城田君に知られた時は偶然を装った。少し罪悪感をもちつつ、彼はしっかりと私を覚えていてくれた。
現状維持だった短い髪は伸ばし、女の子らしい髪型にした。
髪の毛も地毛の金髪に戻したから判りずらいかと思ったが名前で直ぐに認識できたらしい。
桜哉「真昼はー？真昼
あいつ一人暮らしで家事全般完璧よ？」
彼は綿貫桜哉。城田君の大親友。
いつも冗談ばかり言う人だが、クラスのムードメーカー的な存在だ。
虎雪「真昼はもう料理隊長に決まったじゃん
すでに試作中…」
「でも他に誰が…」
やはり、ここは自分が率先するべきか。
そう思い挙手しようとした。
と、同時に教室の扉が勢い良く開きクラスが一斉に振り返る。
真昼「いつまで係り決めやってんだよ！？
決めてる間に試作のクッキー焼けた！
食え！！」
A「城田君…」
教室に美味しそうな甘い匂いが充満した。
全員がクッキーへと群がる姿はまるでハイエナだ。
私はその光景を呆然と立って見ていた。
真昼「たく、仕方ないなあ…
あ、ほらよ。翡翠さんも。」
籠に積まれた何の飾りもないクッキー。
一枚だけ口にして味わう。
A「…うん。美味しいよ」
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ナタデココ(プロフ) - 夢主の本性がどのようにバレるのか､果たしてバレないのか、今から楽しみです！！ (2016年9月13日 21時) (
レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー(プロフ) - 黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liarさん» コメントありがとうございます！更新停止の予定は無いのでご安心下さい^_^ただ、学生であるため土日の方が多く更新することがあります。とても励みになりました！これからも頑張りますね( ´ ▽ ` )ﾉ (2016年9月10日 9時) (レス) id: a1258340ec (このIDを非表示/違反報告)
黒乃栖+眞姫那@虚飾.og66661akasim.liar - とっても面白かったです！更新頑張ってください!!応援しています!続き待ってます！更新停止だけはやめてください…！ (2016年9月9日 23時) (レス) id: 1536a576c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レモンティー | 作成日時：2016年7月25日 13時
